※このコラムは北九州地区労連の機関紙「北九州地区労連ニュース」の労働コラムより掲載しています。
● 15年04月14日 労働法コラム

労働法コラム 第1回 未払賃金と裁判 ~賃金をきちんと支払ってもらう



黒崎合同法律事務所: 平山 博久 弁護士

 

imgres当然のことではありますが、労働者が生活を送る上でとても重要なことです。

それでは賃金未払があった時、どうすればよいのでしょうか?

 

一般論として、お金の支払いを求める権利について、請求をしても支払いがない場合、裁判等を起こし、判決等に基づき強制執行という手続きを経て、強制的に回収することになります。

しかし、裁判を起こして、判決をもらうまでには相当程度の時間を要します。

その間の賃金はどうするのか?という問題も生じます。一般的によく利用されているのが、迅速な労働審判や仮の支払いを求める仮処分等ですが、どちらも裁判所の判断が出されるまでに一定程度時間がかかってしまいます。

 

もっと迅速に権利を実現する方法はないのでしょうか?

この点、雇用関係については、民法上、一般先取特権が認められております(民法306条・同308条)。すなわち、「雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権」について、雇用主の総財産について先取特権を有するとされているのです。先取特権とは、文字通り、先取りできる特権(担保物権)です。ですから、裁判などを経なくても、いきなり雇用主の財産(預金、売掛金等)を差し押さえることで強制的に回収することが可能なのです。

なお、未払賃金額に争いがある場合や、解雇無効事案等、複雑なケースにおいては使いづらい面があります。他方、未払金額が明らかであり、その証明も容易という場合には、先取特権に基づく強制執行で回収するのが一番良い手段と思われます。

賃金については労働者の生活の根幹にかかわるものとして、他にも様々な点で保護がされているので、今後、ご紹介していきたいと思います。


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