※このコラムは北九州地区労連の機関紙「北九州地区労連ニュース」の労働コラムより掲載しています。
● 15年04月14日 労働法コラム

労働法コラム 第2回 セクハラから、パワハラへ



黒崎合同法律事務所: 弁護士 東  敦子

 

平成12年に弁護士登録して132462から、職場でのセクシャルハラスメントやパワーハラスメントに悩む方々のご相談を多く受けてきました。セクシャルハラスメントは密室でのことが多く、事実を証明することが難しい事案も多々ありますが、前後の状況(事件のあと、理由もなく頻繁に被害者に連絡をとろうとしたことや、会社への説明が矛盾したり、変遷したりしていることなど)を具体的に示して、裁判で勝訴的和解をした事案もありました。

よく世間では「何でもかんでもセクハラっていわれたら、コミュニケーションもとれないよね。」「ちょっと触られたくらいねえ。」などと女性を傷つける発言がされることがあります。しかし、職場で二人きりになり、たわいのない話をしていたところ、急に上司の顔色が変わって近づいてきてハグされた・・その怖さは本人にしかわかりません。たとえ、その日がそれで終わっていたとしても、近寄られたときには「これからどうなるのだろう。怖い。助けて。」という恐怖と「大騒ぎしたら仕事がなくなってしまう。」という不安で、心がパンクしてしまうのです。その後も裁判で闘う覚悟を決めても、会社で仕事を続けることは難しく、上司の行動によって一生を左右されてしまうことも少なくありません。

また、最初のセクハラ行為に対し、拒否したり、逃げたりした女性に対して、今度は、職場で無視する、過大な仕事を与える、あるいは過小な仕事しかさせない、細かなミスを全てあげつらうといったパワーハラスメント行為を行っていく上司も見受けられます。こういったパワハラ行為は陰湿で、被害者を真綿で締め付けていくような悪質な行為ですが、被害者の中には当初パワハラだと気づかずに「自分は仕事ができないんだ。」と自分を責めて、体調を壊す人もいます。学校のイジメ事件をみながら、批判している大人の中に、自分もそれ以上のひどいことをしている人がいるかもしれません。

もし、被害者に相談を持ちかけられたら、まずは話を聞いてあげて、追い詰めたり、非難したりせずに、カウンセリングを受けることや話をしやすそうな弁護士に相談に行くことを勧めてください。上司と立ち向かう前にご相談に来ていただいた方が、できる限り事実や被害の証拠を集めるという意味でもお力になれることがあると思います。今回は女性の被害者を想定してお話ししましたが、男性の被害者もいます。一人の人間として大切にされる職場を目指して、弁護士もがんばりたいと思います。


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