※このコラムは北九州地区労連の機関紙「北九州地区労連ニュース」の労働コラムより掲載しています。
● 15年04月16日 労働法コラム

労働法コラム 第16回 労働災害手続きの変更について



黒崎合同法律事務所: 弁護士 平山 博久

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1 労働相談を受ける上で、労働災害(これから)に関する相談を受けることも多々あります。これまで労働災害の申請については、行政不服審査法によって、①労災申請をする、②申請が認められなければ審査請求をする、③審査請求が認められなければ再審査請求をする、④再審査請求が認められなければ(あるいは再審査請求から3ヶ月経っても判断がなされない場合に)裁判所に対して取消訴訟を提起するという手続となっておりました。

そのため、裁判所による救済を受けるためには、審査請求、再審査請求という二重の手続を先に経ておかなければならず、事件が長期化するという傾向にありました。また、過労死・過労自殺などの場合には、業務により当該疾病を発症したかを判断するための資料が膨大になることから、充実した審理が求められるところ、実際には充実した審理とはほど遠い審理しかなされておりませんでした。

例えば、私が以前担当した過労自殺の事例では、平成15年に他界された方につき再審査請求の判断が出たのは平成20年であり、同年取消訴訟を提起し、その後勝訴判決をいただき、その後の安全配慮義務違反を原因とする職場との損害賠償交渉等で全て合意に至った

のは平成23年になっていました。また、業務との相当因果関係は明らかな事例であったにも関わらず、審査請求・再審査請求いずれも認められず、訴訟手続になって初めて救済されたものです。

このように行政段階で2重の前置主義を取ること等によって、被災労働者は迅速な解決を妨げられていたということができます。

2 このような状況を打開すべく、本年行政不服審査法の改正法が成立しました。

見直しのポイントは、

(1) 不服申立(審査請求・再審査請求)の二重前置の廃止

→ 再審査請求を経なくても裁判所への提訴が可能。

(2) 審査請求期間の延長

→ 現行60日から3ヶ月に延長

(3) 審理手続の充実化

→ 申立人の処分庁に対する質問権

審査請求人等による資料の閲覧・謄写などが挙げられます。

また、新制度の施行日については、2年以内に新制度に移行とされております。正式な施行日を総務省に確認したところ、平成28年4月1日の施行に向けて準備中とのことでした。2年と言わず1日でも早く施行して欲しいものです。

3 今回の改正によって、審査請求・再審査請求・取消訴訟という複数の手段を通じてより多くの被災労働者が充実した審理を通じて、迅速に救済されることを願うばかりです。


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