※このコラムは北九州地区労連の機関紙「北九州地区労連ニュース」の労働コラムより掲載しています。
● 15年08月26日 労働法コラム

労働法コラム 第21回 労災休業中の労働者の解雇~最高裁の不当判決~



溝口 史子 弁護士

105442 労働基準法19条1項は、使用者が、労災により休業している労働者について、療養のため休業している期間とその後の30日の間、解雇することを制限しています。そして、使用者が同法75条に基づいて労働者に対して療養補償を行い、療養開始後3年を経過しても労働者の負傷又は疾病が治らない場合には、使用者が平均賃金の1200日分の打切補償を行うことを条件に、例外的にこの解雇制限が解除されるとしています(同法81条)。

これまで、解雇制限の解除のためには、使用者自身が労働者に対して療養補償を行っていることが必要であり、労働者が労災保険に基づく療養補償給付を受けている場合には、使用者が労働者に対して打切補償を支払っても、使用者は労働者を解雇できないと解釈されてきました。

ところが、平成27年6月8日、最高裁判所第二小法廷は、労災保険に基づく療養補償給付を受けて休業している労働者に対し、使用者が打切補償を支払って行った解雇が有効となり得るとの判決を言い渡しました(専修大学労災患者解雇事件)。

この判決は、労働者の休業の原因が労災にあるにもかかわらず、災害補償責任を労災保険で補い使用者自らが経済的負担をしない場合でさえ、労働者の療養期間が3年間を超えた場合には一時金の支払と引き換えに解雇を許すという、極めて不当な判決です。このような判決を許しては、労災被害を受けた労働者が安心して療養できる権利を定めた労働基準法19条1項が空文化してしまいます。


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