※このコラムは北九州地区労連の機関紙「北九州地区労連ニュース」の労働コラムより掲載しています。
● 16年01月21日 労働法コラム

労働法コラム 第24回 労働法コラム 派遣法「改悪」の問題点



 弁護士 溝口 史子

 

254314今年の9月11日、多くの問題点が指摘される中、「改正」派遣法が成立しました。この法律の施行日は今年の9月30日とされています。今回は、この「改正」派遣法の問題点を解説します。

1 労働者派遣の問題点

派遣労働は、派遣元と労働契約を結びながら、実際には派遣先で働くという間接的な雇用形態です。労働者と派遣先との間には直接の雇用契約がなく、派遣先は雇用責任を負いません。そのため、派遣先の都合で雇用を打ち切られかねず、労働者の雇用は不安定になります。また、このように立場が弱い派遣労働者が労働条件改善を求めることは難しいため、労働者は、いつ「ポイ捨て」されるか分からないまま低賃金で、働かされてしまいます。

このような労働者派遣は、原則として禁止されるべきですが、労働者派遣法に定められた場合に限って認められるものとされてきました。

2 今回の法「改正」での「改悪」点

(1)派遣可能期間制限を事実上撤廃

派遣労働はあくまで一時的・臨時的なもので、正社員の代わりの安い労働力として使うことは許されないという考え方から、現行の労働者派遣法では、同一事業所、同一業務について、原則1年、最長3年を超えて派遣労働者を受け入れてはならないとされています。また、現行法は、1年以上を派遣期間とする派遣労働者を受け入れた派遣先が同一業務に労働者を雇い入れようとする場合、直接雇用努力義務を、派遣先が派遣可能期間を超えて派遣労働者を使用しようとする場合、派遣労働者に対する労働契約申込義務を定める等、派遣労働者の保護のため、一定の規定を設けています

ところが、「改正」派遣法では、派遣先は、派遣元で有期雇用の派遣労働者について、同一事業所や同一組織単位(部や課など)ごとの業務について、同一の派遣労働者を、3年を超えて受け入れてはならないとされています。また、派遣先が、過半数労働組合や過半数代表の意見を聴取さえすれば(同意は不要)、この期間は延長可能とされています。

つまり、派遣先は、派遣労働者を3年ごとに入れ替えれば組織単位で永続的に派遣労働者を受け入れ続けることがで3年ごとに働く部署を変えれば同じ派遣労働者を無期限に使用し続けることができるわけです。

なお、派遣元で無期雇用とされている派遣労働者については、派遣可能期間の制限する設けられていません。

(2)「労働契約申込みなし制度」の適用を回避

現行法では、派遣可能期間を超えた派遣などの違法派遣が行われた場合、派遣先に対する制裁と派遣労働者の保護のため、派遣先が派遣労働者に対し、労働契約の申込みを行ったものとみなすという規定がおかれ、この規定は平成27年10月1日から施行される予定でした。

ところが、先に説明したとおり、平成27年9月30日から施行される「改正」派遣法は、派遣先が過半数労働組合等から意見聴取をせずに派遣可能期間の制限に違反した場合や、個人単位・組織単位の派遣受け入れ期間の制限に違反した場合に限り、期間制限違反の違法派遣として扱う定めをしています。派遣先が過半数労働組合から意見聴取さえすれば(同意不要)、または派遣労働者個人や派遣先の課をすげ替えさえすれば、どんなに長期の派遣受け入れをしたとしても違法派遣にならず、労働契約申込みなし制度が使われる場面はなくなってしまいます。

「労働契約申込みなし制度」を、施行開始と同時に死文化させ、派遣労働者の「直接雇用になる」という希望を打ち砕く、実に酷い改悪です。

3 今度こそ法「改正」を

残念ながら、「改正」派遣法は、派遣労働の永続化を進める悪法です。低賃金・不安定雇用の派遣労働者の増加は、正規社員の労働条件の悪化をももたらしかねません。派遣法の真の「改正」を目指して、訴えを強めていきましょう。

 


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