● 18年09月11日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №18 弁護士40年の表彰を受けて(2012年事務所だよりから) その2



安部 北九州市は昔、同和行政で窓口一本化といわれる政策を行っていました。同和行政は部落解放同盟という民間団体を窓口にして行うというものです。部落解放同盟は無期懲役で確定した狭山裁判を差別裁判といってこれに反対して学校を休ませるという運動を行っていました。ある女性がこれに反対して自分の子を休ませずに保育所に行かせたのです。これが解放同盟の逆鱗に触れたことは想像に難くありません。解放同盟の方針を受けて北九州市は4月1日にこの子の入所措置をとらなかったため、保育所に行けなくなりました。自宅の目の前の保育所に急にいけなくなったのです。

東 でも、子どもを保育所に戻せという裁判はできたのですか?

安部 「保育所に戻せ」という請求の趣旨では裁判はできません。女性の要求はたった一つで自分の子どもを通い慣れた自宅の前の保育所に戻したいだけなのに。女性は「私が解放同盟から差別されても構わない。でも、子どもが保育所に行けなくなって辛い。」と泣きました。私は2日に一回は仕事を早めに切り上げて夜9時に女性の自宅にいって励まし続けました。

東 先生そこまで……。つて何か力が入ってませんか?

安部 女性の夫は長距離トラックの運転手で不在がちだったし、女性はとても若くて美人でねぇ…

東 ……。先生、本論に戻って下さい。

安部 で、裁判所は判決で「差別をなくすという名目の元、に、保育園児であるA子ちゃんが差別をされるという誠に遺憾な結果になっている」と北九州市の同和行政を厳しく批判し、断罪しました。

東 でも、A子ちゃんは保育所に戻ることはできなかったんですね。全く大人は何をやっているのか、悲しくなりますね。

安部 北九州市は同和地区の高校生に奨学金を支払っていましたが、解放同盟の方針に反対する人の奨学金を打ち切りました。私はこれに対して「不作為の違法確認」という裁判をしました。行政訴訟では珍しい裁判だったので、マスコミも取り上げ、判例時報にも乗りました。

東 それにしても17連勝ってすごいですね。まさに安部先生のモットーである「くどく、しつこく、嫌らしく」。

安部 17連勝しているうちに、部落解放同盟の幹部の土地ころがしが発覚し、北九州市は窓口一本化を撤廃して、ようやく正常化したのです。

 

本を出版

東 先生の戦績が著書になっていますよね。

安部 「谷市長は間違っている。同和裁判17連勝の記録」を出版しました。私は博多から小倉までの新幹線の中で、この自分の本を読んで、あまりのすばらしさに感動して泣きました。隣に座っていた乗客が「バッカじゃないの」と笑っていました。

東 泣いたり、笑われたり、忙しいですねえ。

安部 私は文才があるようなので小倉タイムスというローカル新聞に「ひょうきん弁護士」というコラムを連載し、出版しました。今も「ひょうきん弁護士 その2」を連載中です。

東 ありがとうございました。何回聞いても先生の話はおもしろかったです。
(安部先生の武勇伝は事務所に入っだころから何回も聞いているんですけど、面白いんです。本当に)

 

 

永きに渡りありがとうございました。ひょうきん弁護士は今回で最後となります。

次回から東弁護士がこのコラムを担当します

 

 


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