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● 18年10月11日 とんとん日記

とんとん日記(3)



北九州爪ケア事件の控訴審の弁護団は、まさに「チーム上田」でした。上田里美さんの事件であるから、みんなが支えるという意味があり、そして控訴審の主任弁護人である上田國廣弁護士がリーダーという意味もありました。

約20年前の私が司法修習生だったとき、刑事事件の裁判官から「福岡の刑事事件を傍聴するときには、上田先生と、○○先生と、○○先生の法廷をしっかりとみて勉強すること」と言われることがあり、いつも上田弁護士の名前を聞いていました。当時、雲の上の人・・という印象でした。そして、上田弁護士は今では当たり前のようになっている弁護士がいつでもできる接見(被疑者、被告人との面会)を獲得する裁判を自ら闘った人だったのです。

一審判決で有罪となり、さて、控訴審どうするかという中で、このまま一審を闘った弁護団だけでよいのか、控訴審そのものが初めての経験となる私が日々の仕事と両立して控訴審を闘えるのかと思い悩む日々でした。このことはアンビリバボーでも描かれてしまいました・・・。確か「東弁護士は控訴審の経験がなかった!!」みたいな大きな字で。

そんなとき、安部千春弁護士が「上田國廣弁護士に相談してみなさい!」と元気よく声をかけてくれました。そう、安部弁護士はいつも唐突です。その話も確かケーキを食べながら・・・。えっ、あの上田先生?と私が目をパチクリさせていると、私の返事も待たずに目の前で電話をして「あー、あのね。実はうちの東弁護士がね・・・。」と、とんとん拍子で、私と上田里美さんが相談に行く日を設定してくれました。初めての相談の日は私自身もとても緊張しましたが、事件の概要やこれまでの経過、なぜ、みんなが上田さんと一緒に闘おうとしているのかについて話をしていく中で、「チーム上田」の結成となりました。

このとき、上田弁護士と同じ事務所の高平奇恵弁護士、品川菜津美弁護士も弁護団の一員となり、「看護行為の正当業務行為性の判断基準」など理論面を担当してくれました。当時、高平弁護士は九州大学の研究者としても活躍しており、刑事裁判においてはじめての判断となる「看護行為の正当業務行為性」の理論面を支えてくれました。医師が手術をするとき、患者にメスを入れることは傷害罪の構成要件に該当しますが、正当な業務行為だから、違法性がありません。今回の事件も、患者の肥厚し、変形した爪を切り取ってしまって、皮膚が見える状態になるので、その行為は傷害罪の構成要件に該当するが、正当な看護行為だから違法性がないと判断されました。医療行為についての判例はありましたが、看護行為の判例はなく、理論と実務を丁寧に精査して弁護団の理論を作り上げていきました。

というわけで、こんな話、あんな話をアンビリーバボーのディレクターの方にはお話したのですが「それだと2時間あっても足りません」と言われてしまい、いろいろお伝えできませんでした。ということで、このとんとん日誌をみていただいている方がどれだけいらっしゃるかはわかりませんが、東一人だけでは絶対にやり遂げられなかったこの裁判のことを少しでもお伝えしたいと思って、今回の日誌に記載しました。では、次回は何にしようかな?(ああ、10日って早いのね)。

 


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