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● 20年02月18日 とんとん日記

とんとん日記 36



昨年、私は5年前から後見人としてお世話をしていたTさんの天国への旅立ちを見送りました。Tさんは独身で、ごきょうだいも先立たれていて、親しい身内が近くにはおられませんでした。Tさんとはじめて出会ったとき、「グッドモーニング」とかわいらしい笑顔ですが、あまり会話はかみ合わず、Tさんがどんな人生を過ごしてこられたのかはわからないままです。

食パンをおいしそうに食べていたTさんが、やがて鼻からの経管栄養となり、月1回の訪問時も目をあけてくれることが少なくなってきました。ですが、「Tさーん、日経平均株価があがったよー」と大声で話かけると、目をパチッとしてくれてとてもかわいらしかったです。

そんなTさんは一昨年ころから、何度も「危ないです」と主治医に言われる危機を乗り越えて、ときには葬儀屋さんの問い合わせをしたけれど、また回復されて… という日々を過ごしていました。なんとなく、こんな日々が続くのだろうと思っていたときにTさんとのお別れがやってきました。

そこで私の役目は人生はじめての喪主。参列してくださったのは施設のスタッフさん。お通夜も葬儀の打ち合わせもはじめて尽くし。でも、施設のスタッフさんとTさんの顔をみては泣き、思い出話をしては泣き笑いの穏やかな時間となりました。不思議なものです。家族や親族ではないけれど、一緒に過ごした時間があれば、その気持ちを共有できる人たちとお見送りができる。忙しい中でお通夜までも対応してくださったスタッフの方々に本当に感謝しかありません。

四十九日にはお寺で納骨をしていただきました。施設の方もご一緒の予定でしたが、急に休みを取られた方がおられて急遽来られなくなり、参列は私一人でした。ご住職様のお父さんは生前Tさんと親しかったということで、少しだけTさんの人となりにふれることができました。ご住職は「弁護士さん大変だねえ」と優しく声をかけて下さいましたが、多くの方々の優しさに触れる機会をTさんが作ってくれたことにありがたさを感じました。葬儀のために相談日程を変更してくださった依頼者の皆様も本当にありがとうございました。


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