※このコラムは北九州地区労連の機関紙「北九州地区労連ニュース」の労働コラムより掲載しています。
● 15年04月14日 労働法コラム

労働法コラム 第3回 もし病気や怪我をしたら・・・



黒崎合同法律事務所: 弁護士 溝口 史子

 

105442労働者が、個人的に病気や怪我をした場合、勤務先との労働関係はどのように考えればいいでしょうか。

 

1 休職を希望する場合

健康状態が回復するまで休職したいと望む場合、労働契約や就業規則、労働協約での取り決めに従って、勤務先の申し出をすることとなります。こうした取り決めがない場合には、勤務先との話し合いが必要です。

なお、休職期間中の賃金は、就業規則等での取り決めがあれば、その取り決めに従って請求できます。取り決めがない場合には、傷病手当金(健康保険法99条)の受給を検討しましょう。

 

2 働き続けたい場合

これまでどおり(または休職中から復職して)働きたいと希望したのに、勤務先が「労務に耐えられない」として就労や復職を拒み、休職を命じられてしまった場合、勤務先に対して労務に耐えうる健康状態であることを説明する必要があります。もし、労働者が労務に耐えうる健康状態で、休職命令が違法であることがわかったら、労働者は休職を命じられた期間の賃金を請求できます。

では、勤務先に対して、今までと異なる業務(たとえば現場業務から事務作業へ)への配置転換を求めることはできるでしょうか。職種や業務内容を特定しない労働契約では、異なる業務への配置転換の申し出も、契約に従った労務の提供にあたるといえる場合があります。この場合、勤務先は労働者に休職を命じることはできません。勤務先が配置転換に応じずに労働者の労務を受け取らなかったとしても、労働者は賃金を請求できます。

 

3 勤務先から受診を命じられたら

休職が必要かどうかを決めるにあたって、勤務先から指定医を受診するよう命じられることがありますが、従う必要はあるでしょうか。

裁判例は、労働者側にも医師を選ぶ自由があることを認めつつも、勤務先にも労働者に対する安全配慮義務を尽くす必要がある以上、合理的な理由があれば、労働者に指定医への受診を求めることができるとするものが大勢です。受診命令を拒むと、労働者側の落ち度と評価され過失相殺されたり、懲戒処分の対象とされたりするおそれがありますので、合理的な理由がない限り受診命令に従う方が無難でしょう。

 

右記は一般論ですが、休職については、たくさんの裁判例が集積されています。もしお困りの案件がありましたら、ご遠慮なくご相談ください。


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