※このコラムは北九州地区労連の機関紙「北九州地区労連ニュース」の労働コラムより掲載しています。
● 15年04月16日 労働法コラム

労働法コラム 第15回 過労死を招く!? 労働時間規制の大幅改悪



黒崎合同法律事務所: 弁護士 溝口 史子

 

110278 労働基準法は、労働時間の週、日毎の上限規制や、時間外労働等の割増賃金の支払いなどを定め、労働者の権利を守っています。ところが、安倍政権は、この労働時間規制を大幅に緩和し、労働者に長時間労働を強いる労働法制を作ろうとしています。

平成26年の4月、経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議は、「高収入・ハイパフォーマー型」と「労働時間上限要件型」の2つの雇用形態を提案しました。

「高収入・ハイパフォーマー型」とは、年収など一定の要件を充たす労働者について、労働者本人の同意を条件に、仕事の成果・達成度に応じて報酬を支払うもので、その労働者には労働基準法の労働時間規制(週・日あたりの量的制限、休憩・休日に関する定め、割増賃金の支払など)が全て適用されません。労働者の要件は、「おおむね年収1000万円以上の高収入」で「職務の範囲が明確で、高度な職業能力を有する」者とされていますが、安倍首相は委員会で「経済状況が変化する中で、その金額(年収1000万円)がどうかということはある。」と答弁し、経団連も「少なくとも全労働者の10%ぐらいは適用を受けられるような制度にしてほしい。」と要望したと言われていますので、この範囲は拡張されるおそれがあります。会社に同意を求められ「NO」と言える労働者がどの程度いるかも疑問です。

「労働時間上限要件型」とは、労働時間に関係なく、職務内容や成果などをもとに報酬を支払うものです。労使の合意さえあれば、ほとんど全ての労働者が対象となり、労働時間の上限も労働基準法の基準を超えて柔軟に設定できるとされています。国による規制は、1年間あたりの「強制休日日数」の定めのみで、この規制に違反しても罰則はありません。つまり、1日あたり1週間あたりの労働時間の量的制限も、翌日の勤務開始までの休息時間の下限の定めも何もないのです。労使の交渉能力の格差を考えると、「労働時間上限要件型」とは名ばかりで、労働者が使用者が求める「成果」を出すまで際限なく働かされる制度となることは目に見えています。

このような労働時間規制の大幅緩和が、労働者の長時間労働を招き、健康を損ねることは明らかです。皆さん、断固として反対しましょう!


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