● 15年04月11日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №114 第一章 カサ



ひょうきん弁護士277赤旗祭りが福岡市舞鶴公園でありました。その日は今にも雨が降り出しそうな天気、僕は自分のカサをさがしたけれどもすでにありません。

「こんちゃん、このカサ借りて行くよ」

「そのカサはダメ。昨日私が六百円出して修理したばかりよ」

「いいじゃないか、必ず持って帰るから」

「あなたはそう言って私のカサを何本持って行ったの。そのカサはせっかく修理したのだから持って行ってはダメ」

「絶対に忘れないから頼む」とこんちゃんのピンクのカサをかり出した。

赤旗祭りは小倉から福岡まで貸切りバスで行きます。ピンクの人目につくカサを見て友人、知人は「あら、安倍先生、派手なカサね」

「そう、このカサは女房が修理をしたばかりのカサなので、忘れて帰ると大事になる。絶対に持って帰らなければならん。すみませんがあなたも僕がカサを忘れないように注意をしておいてくれませんか」

バスに乗り込むとまたもや僕の独演会。

「皆さん、おはようございます。僕のカサは目立つでしょう。実は女房のものです。僕は一年にカサを十本は紛失します。僕の妹は僕に少々雨が降ったぐらいではカサをさして行くことを禁止しておりました。今日はこのような天気だと、よく忘れるんですよね。雨がジャージャー降っていると忘れることはないんですが、雨が降ったり止んだりするとすぐ忘れるんです。今日も女房に『カサを貸せ』と言うと、あなたはすぐ忘れるから貸さないというんです。それで今日はどんなことをしてもカサを持って帰るからと約束してきたんです。今日忘れると僕はまた、女房からたたかれることになるから、どうしても忘れることはできんのです。僕の力だけではどうにもなりませんので、皆さん、僕がカサを忘れないように、よろしく御協力をお願いします」

こんな話をしているうちにバスが赤旗祭りの舞鶴公園に着きました。すると雨が降り出しました。しかし、カサをさそうとすると、こんちゃんから借りたカサはありませんでした。バスに乗る前はあったのに、バスに乗っただけでカサはもうなかったのです。


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