● 15年04月21日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №115 第一章 時計
長男肇と二人で潮干狩に行きました。帰ってきて、まだ寒かったのでストーブに火をつけました。しばらくすると異様なにおいがして、黒煙を吐き出しました。
見ると、ストーブの上に置いた時計が燃えているではありませんか。あわてて肇と二人で火を消しました。窓を開け、空気の入れ換えをしても、そう簡単ににおいは消せません。
「肇、困ったな。またお母さんにたたかれる」
その時はこんちゃんはどこかけお出掛けでした。困った、困ったを連発していると、こんちゃんが帰ってきました。
「あら、何かにおいがする。おかしい。あんたたち、また何かしたね」
僕と肇は黙っている。
「黙秘権を行使するつもりね。それならそれでいいよ。でも後で分かったら、ひどい目に遇わすからね。今の内に白状したほうがいいよ」
僕と肇は黙っている。
「あんたたち、しゃべったほうがいいよ。どうせすぐ分かるんだから」
と言いながら、何か証拠はないかと部屋中を探している。僕と肇は既に証拠物件は隠してしまっていました。
探しても証拠は見つからないとこんちゃんは怒って
「こら、肇、白状しなさい」と肇を叩き出した。
「白状するまで叩くんだから。あんた肇が可哀そうと思わないの。いい加減にしなさい」
仕方なく僕が白状する。
「あんた、ストーブの上に時計が置いてあるのにきがつかなかったの」
「いいや、気が付いていた」
「じゃあ、この時計はプラスチックだから、燃えるということが分からなかったの」
「プラスチックが燃えることは知っていた」
「じゃぁ、どうしてストーブに火をつけたの」
「いや、時計がストーブの上に置いてあることは分かっていた。ストーブに火をつけると、プラスチックは燃えることも分かっていた。しかし、この時計が燃えることはその時分からなかった」
こんちゃんは怒って
「死ね」
と僕をまた殴りました。殴られても仕方のない事件でした。