● 15年05月07日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №116 第一章 給食袋
遊び人の僕はお出掛けが好きです。ある日、家族全員で遊びから帰り、テレビを見ていました。こんちゃんが僕に
「洗濯物を取り込んで」
と命じました。疲れていた僕は
「あなたもテレビを見ているやないね。僕も疲れているから一緒に取り込もう」と反抗しました。するとこんちゃんは
「洗濯物は干した人が取り込むの」
と理論的に命じました。僕はクソっと思いましたが、一人で取り込みました。するとこんちゃんは、洗濯物の中に肇の「給食袋がない」と騒ぎだしました。
「そんなこと言って僕は知らん」
「知らんがあるね。あなたが取り込んだのだからどこかに落としたに違いない。探してきなさい」
「探せと言っても外は暗いし、明日にしよう」
「懐中電灯があるじゃないね。早く探しに行ってきなさい」
やむなく探しに出たけれど、どこにも見つからない。
「こんちゃん、見つからないよ」
「こら肇、自分の給食袋をお父さんが探しよるのに、自分はテレビをテレッと見て。早よ、お前も探しに行け」
仕方なく、今度は二人で探しました。しかしやはり見付かりません。
こんちゃんに「見付かりません」と報告すると、怒ったこんちゃんは「そこに座れ」と二人を座らせました。そして物差しで十数回、二人を叩いたのです。竹の物差しは衝撃で割れてしまいました。
翌日、僕が帰ってくるとこんちゃんは妙に機嫌をとります。
「お父さん、お刺身買ってきたよ。ビールも冷えとるよ」
「こんちゃん、今日はおかしい。何かある。どうしたのか」
「あのね、肇の給食袋、あれ私が洗濯するの忘れとった」
「あんた、いい加減にしろよ。あんまりじゃないか」と僕が怒ると、こんちゃんはおもむろに言いました。「あなた、私が正直に白状したから、この家に平和が戻ったのよ。どっちが良かったかよく考えなさい」