● 15年04月01日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №113 第一章 ラブホテル
宴会は盛り上がってきました。すると河野弁護士が電話に立ち上がりました。
「すまんが、今日はちょっと遅くなる」
と自宅にかけています。
「じゃぁ、僕も電話しなくちゃ」前野弁護士が立ち上がりました。
高木弁護士も僕に「先生も電話しといたほうがいいんじゃありませんか。また奥さんに怒られますよ」と声をかけて、家に電話を入れに立ち上がりました。
酔っ払っている僕は
「かけたいやつはかけろ、俺は日本男子よ。女房の機嫌ばかりとっておられるか。座が白ける」とまた酒を飲み続けました。
さて盛り上がった宴会も終わりとなり、「じゃあ」と一人去り二人去っていく。
「そろそろ僕も帰ろう」
と時計を見るとすでに夜中の一時でした。「しまった」と思ったときにはもう遅い。
後悔にさいなまれながらやっと家に帰りつき、玄関のブザーを押しました。こんちゃんは出てきません。鍵を取り出して玄関を開け、そっとドアを引いてみましたがやっぱりドアチェーンがしてあります。
「こんちゃん御免なさい。ここを開けてよ。起きとるやろが、あけてよ」と頼んでみても返事がありません。
さて、どうしたものかと思案しましたが名案は浮かびません。しょうがないと自宅の前にあるラブホテルに行きました。
「すみませんが、今晩泊めてください」
「お連れさんは」
「一人です」
僕をじろじろと見て怪しいと思ったのか「一人では泊められません」
「二人分払うからいいでしょう」
「二人分払ってもうちは一人ではお泊めできません」
「別に怪しいものではありませんよ。前のマンションの住人ですよ。ちょっと鍵をなくして家に入れないんです。なんとか泊めてくださいよ。駄目ですか。そんならちょっと電話を貸してください」
「もしもし、こんちゃんですか。はい、前のラブホテルからです。このままでは僕は不倫しなくちゃならないから、何とか家に入れてもらえないでしょうか。それともここに不倫をしに来ますか」
「このバカ、この恥さらし、折檻してやるから早く帰ってきなさい」
とこんちゃんは電話を切りました。