● 17年01月11日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №175 第四章 労働仮処分必勝法 その5 裁判官とはケンカするな!



この裁判官は私を負けさせることに無上の喜びを持つようなので、私は「どうだ。俺を負けさせようたってそうはいかんぞ」と、私を絶対に負けさせることができないように主張と証拠を揃えなければならなくなった。この時期は一つひとつの事件が真剣勝負だった。少しでも甘いところがあると、そこを突いて私を負けさせる。どこからでも私を負けさせることができないように証拠を集めなければ勝てなかった。

西日本高圧ガス株式会社が経営危機になり、従業員6人の首を切った。この事件を担当したのが例の裁判官である。

私か面会を頼むとこれは当然拒否。書記官に「審尋期日は?」と聞くと「裁判官は審尋をしないと言っております」という冷たい回答。裁判官は私の顔が見たくなかったのである。これには本当に困った。「天は我を見捨てたか。またあの裁判官が ニャッ と笑って私を負けさせるのだろうか」と思うと心が暗くなった。
しかし、諦めるわけにはいかない。敵は裁判所ではない。相手方だと思い直した。
相手方の答弁書を読むと、企業の再建計画が書かれている。これには労働者の首を切れば株式の配当が可能になることが詳しく書かれてきた。私はこれに噛みついた。相手を激しく攻撃した。
「なんだ。労働者を首切って、株の配当をするのか。血も涙もない会社ではないか。十数年も勤めた従業員を不況になったからといってポイ、そんなことが許されるのか」
今の時代なら株式会社であるから株の配当は当然のことだが、昭和50年代の労働裁判は労働者の権利擁護の面が強かった。
整理解雇の三要素には、「企業の維持、存続が危殆に頻しか程度に差し迫った必要性がないかぎり解雇はゆるされない」と言うものがあった。私は「この会社はつぶれるどころか株の配当までしようとしている。今はどの会社も不況で苦しんでいるのだから、配当をするために労働者の首を切るなどということは判例理論から到底許されない。正義に反している」と主張した。決定が下され、何と私は勝ってしまった。
どうやら私は裁判官の評価を誤っていたようだ。闘う弁護士はもっと人間を見る目を鍛えなければならない。


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