● 17年01月24日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №176 パリ一人歩き 「NO, KANKO」の巻
あれはハワイに行ったときのことだった。妻は私にしつこく言った。
「税関で質問される人は滅多にいないけれども、質問は大抵旅行の目的が仕事か観光かという程度です。仕事はビジネス、このくらいはあなたでも知っているでしょう。私たちは観光だから、サイトシーイングと言うのよ。団体旅行だから皆に迷惑をかけないようにしてね」。
ハワイの税関の入国審査で並んでいる間に私は「サイトシーイング」の単語を忘れてしまい、必死で思い出そうとして胸がドキドキした。私は一応中学から大学まで英語を学んだけれども、今では全く覚えていない。そもそも受験英語だから、多少読むことはできてもヒアリングやトーキングは全くできない。その私の動揺が税関職員にもわかったのだろう。運の悪いことに私は旅行の目的を聞かれた。
「Are you business ?」
私は思わず返事した。 「No, kanko!」
場所はハワイの税関である。税関職員は「kanko」の意味をすぐ理解したらしい。私に軽蔑した目を向け、手で「あっちへ行け」という合図をした。そして、次に並んでいる私の妻に、私のことを指さして質問した。
「Is he your husband(夫)?」
妻は答えた
「Oh!No he is stranger! (知らない人)」
私はこれまで妻と一緒にハワイとロシアに行ったが、その最初の外国人との会話がこのとおりだったので、それ以来用件は妻がすべて英語で話し、私は全く外国人と話をしなかった。
今回、私は妻を連れずにイタリアとフランスへ行くことになった。妻は旅行の前にしつこく私に注意をする。
「パリやローマは犯罪の都ですからね、財布を後ポケットに入れたりしたらダメよ。パリの地下鉄は最終駅で表示されているから、間違えないように乗るのよ…」。