● 17年02月01日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №177 パリ一人歩き やっぱり…の巻



パリで1日自由行動の日があった。私は一人で美術館めぐりをしようと計画していた。妻がいなくても、一人で行動できることを証明したかった。

まず前日、ホテルの近くを歩き廻ってホテルがどこにあるかを確認し、ホテル近くの大きな目印「凱旋門」を覚えた。当日は凱旋門を8時に出発し、シャンゼリゼ通りを下ってコンコルド広場まで歩いた。開館と同時にオルセー美術館に入り、次にオランジュリー美術館、そしてルーブル美術館と廻った。

私は上野の松方コレクションや、ひろしま美術館、福岡市や山口市、大分市などで開かれた美術展を見てきたが、私がこれまでの人生で見てきた以上の数の有名な絵画やオブジェを1日で見て廻った。これで69万円もの代金を払ってパリに来た甲斐があったというものだ。
ルーブルが18時に閉まり、疲れたので帰りは地下鉄で帰ろうと思った。ルーブルには地下鉄乗場が3カ所あったので、凱旋門まで行く最終駅の表示された乗場を探した。

しかし、見つからなかった。3カ所とも2回下りでみたが、何故か私のめざす駅の表示がなかった。私は地下鉄乗場に立って、乗客がどのようにしてホームへ行くのかを観察した。すると、ホームへは切付を買わなくても行けることがわかった。そこで私は皆と同じようにホームに下りてみたが、ここでも私のめざす最終駅の表示がなかった。

やむなく私はルーブルの近くのラーメン屋に入った。ここは日本人がやっているので日本語が通じる。私は味噌ラーメンとキリンビールを注文し、日本語で凱旋門までの地下鉄の乗り方を尋ねた。

店主は「地下鉄を入って右に行く道があるが、そっちには行かずに直進し、更に地下に下りればいいですよ」と教えてくれた。店主の指示どおりに歩いて地下鉄に下りた。

しかし、私の行先とは反対の方向へ行くように思えて地下鉄に乗る勇気がでなかった。「エーイ、こうなれば歩いて帰るしかない」と、約4キロの道のりをテクテク徒歩で帰った。結局、私はこの日約11時間も歩き続けた。
こうして私はイタリアとフランスでも外国人と直接会話することは一度もなかった。


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