● 18年05月02日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士3 №06 「司法試験」その1



私が吉野弁護士と知り合ったのは、今から四七年前の秋だった。

その頃九大には、司法試験に合格した先輩が、後輩を受験指導するサークル〝松法会〟があった。

九大は田舎大学なので、大学の授業に出て真面目に勉強しても司法試験には合格しない。私のクラスの優秀な生徒が、「司法試験に合格するにはどうしたらいいか」と、ある教授に質問したら、教授は、「あれは、合格しない試験なので、大学院に入ってからしっかり勉強したら」などと、無責任な回答をしていた。

ところが、吉野弁護士は、その難関の司法試験をストレートで合格していた。九大で、その頃4年生で合格したのは10年ぶりだと言われていた。

そして、吉野弁護士はそれから、後に吉野夫人となった中山あつさんのお兄さん中山 茂宣弁護士らと協力して、九大からも司法試験現役合格者を出すために松法会の充実を始めた。

私は、たまたま親しい友人らが松法会に入って受験勉強を始めたので、付き合いで松法会に入った。

そして、そこで吉野弁護士と知り合った。

彼は私たちに言った。

「一人で合格しようと思うな。仲間皆で合格するのだ」

私達は、それから毎日大学の授業には出ずに、図書館に通って独学で教科書を読んだ。

一週間に二回、吉野弁護士のゼミが夜にあり、皆で教科書の読み方を教わった。

日曜日には、模擬試験が午前中にあり、午後には前回の試験の講評があった。講評が終ると、その夜はサントリーレッドやピーナッツ、蒲鉾などを買ってきて酒宴を開いた。

つづく。


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