● 12年02月01日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №01 部会長披露パーティ(1)



私は福岡県弁護士会小倉部会長に当選した。弁護士会は新しい部会長が誕生すると北九州市の各界を案内して部会長披露パーティを行っていた。私はパーティの案内状を末吉興一北九州市長に届けに行った。
市長室の前には秘書課がある。私が北九州市を相手として同和裁判で十七連勝した時、何回か市長の椅子を差押えに行った。すると秘書室で阻止された。現金が別室に用意されているので、そこで現金を差し押さえて下さいというわけだ。私は執行官に現金ではなく市長の椅子を差し押さえて下さいと頼むが、そんなことはできませんと拒否された。
今回生まれてはじめて、秘書課に「お待ち申しあげていました」と丁重に迎え入れられ、市長室に入った。市長室は広く、市長の机と椅子の他に二十人以上が座れる応接セットがあった。
私は応接セットに座り、名刺を市長に差し出し「このたび、福岡県弁護士会小倉部会長に就任しました、安部でございます。例年どおり、部会長披露パーティを行いますので、出席の程、よろしくお願い致します」
「日程の調整をしなければなりませんが、なかなか多忙で出席出来るかどうかはわかりません」
末吉市長は私の顔を全く見ず、小倉城の方を見ながら、答えた。普通、客人にこのような態度をするわけがないので、この人はよっぽど私のことが嫌いなのだと思った。
小倉部会に戻ると皆に「市長は来ないよ」と報告した。すると部会員たちが怒り出した。
「確かに安部さんと市長では政治的立場が違うので、市長が出席したくないという気持ちはわかる。しかし、市長は北九州市民の代表者だ。小倉部会長披露パーティという公式行事に個人的な感情で出席しないというのには納得できない」
私が北九州市を相手に十七連勝をした時、当然、北九州市の代理をした弁護士もいた。個人的に親しい弁護士もいた。この人達が説得し、末吉市長がパーティに参加することになった。

小倉タイムス より転載


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