● 17年05月11日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №186 同和保育所事件④ 再び勝訴



私達はやむなく6月9日、福岡地裁へ入所措置解除処分の取消訴訟を提訴した。この訴訟にも12月23日勝訴した。その判決は次のように北九州市の入所措置解除処分を厳しく批判している。

「児童福祉の本旨と前認定にかかる北九州市における同和保育の実情に鑑みると、たとえ解同小倉地協の確認印がなかったにせよ、本来同和保育の対象者であることに疑いのない本件児童について、被告がこれを同和保育所たる紫町市民館に入所措置しなかったことがそもそも当を得た措置でなかったというべきであり、本件係争の真の原因は右の点にあるというべきである。

およそ行政においては公平、平等が重要な指導理念であり、殊に福祉行政においては右の点が重視されるべきである。しかるに、右に見て来たように、本件においては、その責任を被告のみに帰せしむべきかどうかはともかくとして、本件児童は、差別をなくすことを目的とする行政の名のもとにいわれのない差別を受けるというまことに遺憾な結果となっているのである」。

この判決が下された日、田中さんの家で田中さん夫婦と祝杯をあげた。私達は裁判には勝つことができた。しかし、2人の子供を紫町市民館保育所に入所させることはできなかった。せめて裁判に勝った時ぐらいは祝いたかったのである。飲んでいる内に私は涙がポロポロ出て止まらなかった。うれしかったわけでもない、悲しかったわけでもない。子供を保育所にもどしてやることができなかったことがくやしかったのである。


<< >>