● 18年02月13日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №211 土地ころがしその3 谷市長の告発
昭和56年9月21日、私たちはついに刑法247条背任罪で谷市長を告発した。刑法172条には虚偽告訴罪があり、人に刑事処分を受けさせる目的で告発したものは3月以上10年以下の懲役に処すると規定されている。谷市長が虚偽告訴罪で私たちを逆告訴して反撃に出る危険があった。しかしここまできた以上、私たちは弁護士のバッチをかけて勝負に出ることにした。
この告発は、同和住宅用地として取得された八幡西区大字笹田字七田の5万3000平米にものぼる土地ころがしの温床となった北九州市の腐敗した行政、特に不公正・乱脈な同和行政をただすところに重要な意義があった。
北九州市は、同和行政の基本方針としていわゆる「窓口一本化政策」をとっている。窓口一本化政策とは、同和事業の推進はすべて「部落解放同盟」とだけ協議し、あらゆる同和施策による給付は、右組織を通じてのみ実施するというものである。この「窓口一本化政策」は、裁判所において適法性を認められず16回にもわたって敗訴を受けた。
このような「窓口一本化政策」 の結果、部落解放同盟幹部が多額の国庫補助を含む莫大な同和予算(56年度241億円)を事実上独占管理し、同和関係施設の建設、そのための用地買収等もすべて意のままにされていた。他方で、北九州市の場合、 こと同和行政に関することは予算を含めて一切公開せず、闇の中に置くため、窓口一本化は格好の利権あさりの温床となり、不公正乱脈・腐敗の同和行政の原因となっていた。
土地ころがしはその後の経過から明白な如く北九州市、不動産会社、そして解同幹部が特定の人物に利権をもたらす目的で計画し遂行した極めて悪質なものである。
太陽興産勝(株)社長岩本勝は、木村政男との間で従来から土地売買をひんばんにおこなってきた。そして前記土地を北九州市に持ち込んだのは木村であった。木村はこの3、4年のあいだに莫大な財産を所有するに至っている。
解放同盟小倉地区協議会書記長木村は同和行政上の特権を利用し、それをただすべき立場の谷伍平らはかえって法を犯してまで木村のような解同幹部に利権を与えているのである。しかも、国土利用計画法や公有地の拡大の推進に関する法律に基づいて、土地の届出がなされ、各部局間に書類が回覧される際、民生局同和対策室で一定期間書類が滞り、目ぼしいものは、北九州市が買い取りにかかる前に土地が転がされると聞かれるほどで土地転がしの腐敗は構造化している。
告発状の最後は以下のとおりである。「検察当局においては、タブー視されてきた同和間題に勇断をもつて果敢に取り組み同和行政正常化の一里塚を築いて頂きたい」