● 13年04月30日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №45 解雇撤回と闘う 2
「あのね、私がどんな弁護士か調べましたか。私は労働者の権利を守るためにこの三十年間闘ってきました。解雇の裁判でこれまで負けたことはありません。こんなことで解雇して認められるわけがない。あなたの会社にも顧問弁護士がいるでしょうから、よく相談してください。私は人間は淡泊だが、裁判ではしつこいよ。必ず勝つよ。労働者を不当解雇すれば裁判所は許さないよ」
オサダの動きは早かった。
直ちに懲戒解雇撤回通知書を発した。その中で「緊急人事会議の結果、復職させることに決定しました。勤務シフトの関係もありますので何日より出社するのか連絡下さい」と書いていた。
私「田中さん、申し訳ありません。私の脅しがききすぎました。解雇を撤回するというから戻るしかありません」
田中「先生、オサダには労働組合もありません。
私が会社に戻れば徹底的にイジメに遭います。今さら戻れません。こんな仕打ちを受けて引き下がるわけにはいきませんので、オサダをやっつけてください」
私「気持ちはわかりますが、解雇を撤回されてはどうしようもありません」
田中「そんなことはありません。私がインターネットを調べてみたら、不法行為として裁判が出来ると説明してありました」
私「確かに理論的には可能です。しかし、日本の裁判所の慰謝料は安い。とりあえず交渉してみましょう」
オサダの顧問弁護士に電話をする。
私「解雇を撤回していただいてありがとうございます。しかし、今さらオサダには戻れません。解雇したこと自体が不法行為ですから、慰謝料を支払ってください」
相手「いくらですか」
私「一年分の給与相当額500万円です」
相手「それは高すぎます。百万円であれば会社を説得しましょう」
田中さんと相談し、100万円で和解した。
その後、私はしつこく残業手当1,602,079円と付加金1,602,079円を支払えという別訴を起こし、こちらは300万円で和解した。
結局、500万円にはならなかったが、400万円を取り上げた。
(黒崎合同法律事務所所長)