● 22年08月23日 きょうのにゃんこ
シンポジウム「人と動物が共生する社会の実現のために」
「人と動物が共生する社会の実現のために」と題してシンポジウムを開催します。
巷では、野良猫や野良犬を巡る問題が地域の紛争の種になっていたり、
多頭飼育崩壊も社会問題になっています。これらの背景には、ペットブームの中で、
ブリーダーによる大量生産、不適切飼育であったり、飼主による遺棄等、
構造的な問題があります。
私も委員である福岡県弁護士会の公害環境委員会では、
これを住環境・暮らしの問題と捉え、取り組み始め、これまで、各地域の動物愛護センターや、専門家のヒアリング、現地視察等、調査を行ってきました。
ひと昔前までは、野良猫がいたらセンターに通報して引き取ってもらって、殺処分、
という流れが当然に行われていましたし、餌やりが非常識という常識が今でも多くの人の間で当然になっています。
一方、動物愛護法はこれまで改正を重ねて、2019年に大改正。
動物虐待の厳罰化や、動物取り扱い業者に数値規制導入等、様々な点が大きく改正されました。動物の命の法益としての価値が高まっています。
改正動物愛護法は、今回のシンポジウムのタイトルでもある「人と動物の共生する社会の実現」を第1条で目的として定めています。
この法の目的を踏まえても、殺処分や、餌をやらずに餓死させるという方法は望ましい方法ではなく、人と動物がより良い環境で暮らせる方法を模索する途を探す必要が
あります。
この理念を実現するために、TNR(Trap:捕獲、Neuter:不妊去勢手術、Return:元居た場所に戻す)や、地域猫制度という方法が考えだされて、各地で普及しています。だけどまだまだ、普及のための啓発が足りておらず、地域住民の理解が足りないために実現できないという現状もあります。
法改正があっても、理念と現実に大きな乖離がある状態なのです。
これらの取り組みは、周辺住民の理解が不可欠なので、今回のシンポジウムが、このような取り組みや理念を知ってもらう機会になればと思っています。
弁護士は社会的弱者の救済を行うことが責務です。動物は、命があり、1匹1匹感情もあり、痛みや苦痛も感じるのに、それを声に出して訴えることができない、社会的弱者の最たるもの。
その動物が、ペットブームのような人間の都合で翻弄され、不適切飼育、殺処分や餓死という事態に追い込まれています。
ここに弁護士会が手を差し伸べず、見過ごすわけにはいかないと思います。
シンポジウムは事前申し込みは不要で、オンライン参加も可能なので、是非、お誘いあわせの上、お気軽にご参加ください。