● 14年07月01日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №87 安川電機の思想・女性差別是正裁判⑧
和解内容は、本来判決では得られない内容を含んでいて、原告団としては
「パーフェクトではないにしても、客観的に判断して少なくともべターなものである。20余年にわたる長期に及んだ裁判闘争ではあったが、判決を待たずにわれわれは全面的に勝利した」との評価を確認した。
その結果、在籍(元)原告に対しては、2000年9月21日付で昇格した会社辞令が交付された。
今までは、業務でどんなに能力があり、たとえ業績をあげても、その業績をその都度表彰するようなことはあっても、社員としての処遇・格付けでは常に下積みで、徹底的に差別されてきた原告達も、是正の結果 在籍者11名のうち6名(旧事務・技術職)が管理職相当の資格に格上げされ、それぞれの所属する職場の「組織図」の序列が並べかえられた。
また女性原告については、女性従業員全体の中ではトップクラスにランク付けされ、男女差別是正の今後の闘いに重要な足がかりを作ることができた。
争議勝利の要因
勝利要因の第一は、何といっても直接の当該原告が、人間としての尊厳や誇りを踏みにじられ、労働者・国民として当然の権利を侵害されたことに対する怒りを原動力に、自ら闘いに立ち上がったことである。
第二に、終始原告団と一体で、原告の立場を自らの立場のようにして法廷で闘い、法律上・法廷対策上の指導と助言でリードした私達弁護団の存在である。
第三は「職場の人権を守り民主主義を確立する闘い」としての位機づけを明確にして、まわりの労働省をはじめ職場の内外で広く市民・国民にその意義を訴え、社会的な世論の喚起と支援の行動に依拠した取り組みを、粘り強く執念のように追求してできたことである。