● 14年06月21日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №86 安川電機の思想・女性差別是正裁判⑦



和解へ

裁判を始めて5年ぐらいした頃、相手方弁護士が「安部さんがしつこく反対尋問をするので、上司は法廷に出るのを嫌がっている。金ならなんぼか出すから和解しよう」と言い出した。

10年ぐらいした頃、「裁判が終わった後で、法廷での証言内容をビラにするのは止めて欲しい。金ならそれなりに出すから和解したい」。

15年経った頃、「和解をしたい。どうしたら和解できるか」と言ってきた。

私は「金だけでは駄目です。全員の昇格がなければ駄目です」と答えた。

19年経った時、「全員一ランク上げます」と言ってきた。「その程度では駄目です」と言うと、今度は「会社には55歳以上はそもそも昇格がない。だから55歳以上は一ランク、55歳未満の人は二ランク上げます」と言ってきた。

私達が「それは年齢による差別なので認められません」と答えた。するとこれが最後の提案ですと、原告全員について一ランクから三・五ランクまで上げた査定をして提案してきた。

原告と相談した結果、和解に応じることにした。その時にはすでに提訴の時から20年も経っていた。

和解の内容

「和解」の内容は、本件紛争が長期に及んだことについて『遺憾の意』を表明させ、在籍原告についての今後の「公正な処遇を約束」させた上で、以下のことを即・実施することを会社が原告団に確約する、というものであった。

①原告(退職者も含む)についての資格を是正させ、それに伴って賃金の是正を行う。

②これまでの適正賃金との差額を支払う。

③退職した原告については上記に基づいて退職金を見直し是正する(既払い分との差額1419万円を支払う)。


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