● 14年06月11日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №85 安川電機の思想・女性差別是正裁判⑥



陳述書作成・提出・出版

個別立証として、すべての原告は陳述書を書いた。生い立ち、安川電機人社の経緯、人社後の経歴、労働運動や社会活動に対する目覚め、会社からの抑圧、差別の実態、仕事に対する興味や情熱など、自分史や職場の歴史を綴った。会社側の陳述書に対する反論も怒りを込めて書いた。

打ち合わせ日を積極的に設定し、原告らは背水の陣で陳述書作成に取り組んだ。弁護士との打ち合わせが深夜に及ぶこともあった。

ある弁護士は、原告の神経をすり減らすような緻密な作業の仕事ぶりを事細かに聞いて感動し、法廷では原告の分身のようになって会社側証人を追及した。
陳述書書きに数年かかった人、なかなか筆が進まず他の原告をやきもきさせ、支援者から「原告が裁判を長期化させるのか」と批判された人もいた。

陳述書を書き、原告が読み合うことで、原告団が労働者として人間として、すばらしい集団であることをあらためて確認しあった。弁護士との団結も強まった。「これを出版して、たたかいの武器に、支援を広げ、財政活動にも」との気運が高まり本を作った。

「思想・女性差別は許せない 22人の陳述書」は1200部以上普及し、支援の人からも「感動した」という声が多数寄せられた。日本の裁判で勝つかどうかは判決が出てみないとわからない。せめて私は原告が生きた証として、妻や子ども達にも自信を持って誇れるような記録を残したかった。私は全員の陳述書を読み、最もいい部分を選び本にした。

弁護団と「模擬裁判」でリハーサル

原告団と弁護団は法廷で迫力ある尋問を勝ちとるため、合同合宿をたびたび実施した。合宿では「模擬法廷」を行い、原告が会社側証人になって、弁護士が尋問をし、尋問の練習をした。


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