● 14年12月11日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №102 大石事件判決文 国際舞台へ



自由権規約では締約国は5年毎に規約の国内実施状況を規約人権委員会に報告して審査を受けなければならない。日本は自由権規約の実施状況に問題があるために報告書の提出がなかなかできなかった。2007年12月にやっと遅れていた第一回政府報告書を日本は国連に提出した。私達は大石事件の経過報告と判決文を国連に提出し、日本の警察、検察、裁判所は自由権規約に違反する行動をしていると訴えた。

2008年10月20日、規約人権委員会は以下の勧告をした。委員会は、「公職選挙法の下での戸別訪問の禁止、選挙運動期間前に配布可能な文書図画への制限など表現の自由及び参政権に対して課された非合理な制約につき懸念を有する」「締約国は、規約19条及び25条の下で保護されている政治活動及び他の活動を、警察、検察官及び裁判所が過度に制約しないように、表現の自由と参政権に対し課されたいかなる非合理な法律上の制約をも廃止すべきである」と勧告した。

委員会は戸別訪問やビラの配布についての市民に対する警察による権力的干渉が、自由権規約に違反すると判断したのである。委員会は、報告審査のなかで委員の一人であり、元検事だったというウエッジウッドさんは「こんなことはどこの国でもやっていること。草の根民主主義の根幹となるまさに普通の活動です。私、びっくりしたのですがこうしたことを禁止することが、日本の裁判所で規約19条と25条違反にならないのですか」とあきれている。

また委員会は警察・検察官の捜査権の濫用だけでなく、過度な制約に裁判所が加担し、人権擁護の司法機能を果たしていないという懸念を直接表明している。

すばらしい勧告の源とも言うべき規約が裁判所ではまともに取り上げられない背景に裁判官の規約に対する無知がある。裁判官が規約に接する機会がないのである。今回の所見は改めて、規約の解釈と運用について裁判官に研修を課するべきだとした。日本の裁判所は暗黒の裁判所である。私達はこの人権委員会の所見を積極的に活用し、日本の人権状況を変えなければならない。


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