● 15年08月01日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №124 第二章 闘う弁護士 先物取引(二)
商品取引所における先物取引は証拠金を提供して、証拠金の約10倍くらいの総約定代金商品を買いつけたり、売ったりできるシステムになっている。100万円の委託証拠金を出せば、1000万円の砂糖の取引ができる。
通常の売買では商品がなければ売れないが、先物取引では一定時期(普通6ヶ月以内)に、現実の売買が行われるものだから、それまでの間はまず商品を売り付け、現実の売買が行われる日までに買付けて清算すればよいことになっている。
しかし商品を持たないで売るということがなかなか理解しにくいので、先物取引の被害者の注文は、「買い」から始まっている。買ったときより商品の値が上がれば儲けがでるし、下がれば損をする仕組みになっている。
商品価格は上がるか下がるかいずれかであるから、儲るか損するかは確立50%である。ところで、売買は委託業者を通じて行われるので、客は業者に委託手数料を払わなければならない。この金額は、証拠金の一割五分である。従って7回くらい売買すると、損をしなくても預けた委託証拠金は返ってこない。
そこで一時点のみを取り出して検討すると、業者の手数料を支払ってもなお評価益が出ている注文は、平均して全注文の二割か三割にすぎない。仮に30%としても、第1回目の取引で益を出した人が、第2回目の取引でも益を出す確立は僅か9%となり、まして第3回目とも益を出す確立は2.7%となる。第4回目0.8%、第5回目は0.24%となり、もはや勝ち続けることは奇跡であって、ほとんどのケースで負けて損をすることになる。常に証拠金を全額使って取引を継続していれば、いずれ全額を失うことになる。
私も下手な麻雀をする。ほとんど負けるが、たまに勝っても店に場所代を払えば儲けはほとんどない。
業者は相場の上がり下がりを予想したり、相場を操縦したりすることは非常に難しいが、顧客にうまいことを言って売買を繰り返しさえすれば手数料は確実に入る。
業界で言う「客殺し」とは業者が顧客に損をさせてその分自分達が儲けることを言うが、このような無意味な反復売買を「コロガシによる客殺し」という。無論、このような行為は取引所指示事項で禁止されているが、業者はそれを承知で繰り返している。