● 15年08月21日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №126 第二章 闘う弁護士 ユニバース(一)



img-821120359-0001具体的な話に移ろう。ユニバースという業者より200万円の委託証拠金をだまし取られたという人が相談にきた。私は話しを詳しく聞いた上で私の事務所からユニバースに電話をさせた。

「あの若松の佐藤ですが、今日のガスオイルの値段はいくらでしょうか」

「今日も五セント上がりましたので、すごいですよ」

「セントで言われてもよく分かりません。私の預けた200万円は今くらになっているでしょうか」

「ちょっとお待ちを。…いま計算しますと今日現在で299万1,215円になっています。今がチャンスですよ。もっと上がりますのでもっと投資したらどうですか」

ここで佐藤さんから私が電話に代わる。

「弁護士の安部ですがいますぐガスオイルを売って下さい。この電話はすべてテープに録音しています。もう一度繰り返しますが、直ちに佐藤さんのガスオイルを処分して下さい」

詐欺師を引っ掛けた時のこの快感、こんなことがあるから弁護士はやめられない。

「あの、すぐ売れと言っても明日の朝になりますが」

「明日でいいから一番で売りなさい」

2、3日後、またユニバースに200万円をだまし取られた人が相談に来た。待ってましたとばかりにまたユニバースに電話をさせる。

「戸畑の田中ですが、いくらになっていますか」

「誠にお気の毒ですが値が下がりまして、もう23万円しか残っていません。追証がかかっておりますので、追証を払っていただけませんか」

同じ手は二度と使えない。クソと思ったがやむ得ない。

「弁護士の安部ですが、直ちに手仕舞にして下さい」

「いま手仕舞にすると、23万円しか返ってきませんがそれでもよろしいでしょうか」

「23万円で私が納得するわけないがとにかくもう取引はやめるので、全部の玉を手仕舞にしなさい」

「分かりました。お金はいつお返ししましょうか」

「言っているように23万円で納得したわけではない。しかし23万円は受け取るので清算でき次第、私の事務所に持ってきなさい」


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