● 15年09月11日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №128 第二章 闘う弁護士 ユニバース(三)
「私がお貸しした商品取引被害をなくす会の『客殺しの手法と救済法』は読んでもらえましたか」
「はい」
「それじゃお解りだと思いますが、この先物取引は詐欺です。ここに私が取り戻してきたお金があります。しかしこのお金はユニバースが誰かをだまして巻き上げてきたお金です。このお金を見てください。千円札がたくさんあるでしょう。やっと集めてきたお金です。
ちょうどあなたの事件の依頼を受けた2、3日後、戸畑の方も200万円をだまし取られて相談に見えました。その事件の解決の依頼を私は受けていたのですが、あなたのお金を取り戻すために、戸畑の方の依頼は辞退せざるを得ませんでした。戸畑の方は、私の事務所の他の弁護士が交渉に当たっていますが、まとまるとは思えません。裁判になるでしょう。詐欺ははっきりしているので勝つと思いますが、問題は勝つまで会社が存続しているかどうかです。
こんな裁判でも早くて1年、まあ2年ぐらいはかかります。こんなインチキ会社は判決まであるかどうか疑問です。会社が倒産していれば、戸畑の人は裁判に勝ってもお金は取れません。
そこであなたに相談ですが、あなたが出したお金は200万円ですから200万円はお返しします。残りの99万円は、私に預からせていただけないでしょうか。裁判をして負ければ、このユニバースの取引は正しかったことになりますので、もちろんこのお金はあなたにお返しします。しかし裁判に勝ってもお金が取れないような状態になった時には、この99万円は戸畑の方に渡して欲しいのです」
「解りました。お金が取り戻せたのは先生のお陰ですので、先生にまかせます」
大変有り難かった。全額返せと言われれば返さざるを得ない。
さて私の事務所の若者弁護士がユニバースを相手に裁判を始めたが、心配していたようにこの会社は倒産して夜逃げしてしまい、このお金が役に立ったのである。