● 15年10月01日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №130 第二章 闘う弁護士 霊感商法(二)
「恵まれない子とは何のことね」
「この世の中の不幸な子供達のことです」
「募金は誰にやるとね」
「お金はベトナム難民の子供達に差し上げます」
「どこの団体なのか名前も書いてないね」
「どこの団体であろうと愛があればいいのです」
「ウソばっかり、あんた勝共連合やろうが、知っとるとやから。私の友達にも何人も勝共連合がおるんやから、こんなインチキカンパをして詐欺やないね」
「何かお前、共産党か」
「あんたたちはすぐそれを言う。あんたたちに反対する人はみんな共産党にされてしまう」
こんな奴と話しても無駄と思ったか、こんちゃんは何事かと集まってきた参拝客に訴える。
「皆さん、この人は勝共連合です。この募金はインチキです。恵まれない子になんかいきません。みんな勝共連合の運動資金になるのです。だまされてはいけません」
清水はまずいと思ったのか逃げ出した。敵がいなくなるとまた、こんちゃんは私に言う。
「何で私を助けんとね」
「助けると言ったって、あなたは勝ちよったやないね。助ける必要はなかった」
「相手は勝共連合よ。何をするか分からんわね」
「あのね、あの男に僕は二回会っとる。あの男が僕を忘れるはずがない。あの男が逃げたのはあなたの力だけじゃない。ぼくがいたからです。雄弁は銀、沈黙は金と言うや無いね」
「この卑怯者、あんたみたいな夫はいらんから、もう帰ってこんでいい」とまた追い出された。
行く所もないので前野弁護士の自宅に行く。行ってもすることがないので前野弁護士と二人で今度は近くの妙見神社に行く。するとまたあの清水がここでインチキ募金をやっているではないか。私をみるとサッと青ざめた。私はニタリと笑うと「儲っていますか」と声をかけた。
その後、募金が集まったらしく、約束どおり小倉天勝堂の清水は分割金を払ってきた。