● 15年12月01日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №136 第二章 闘う弁護士 オリエント貿易(一)
オリエント貿易に乗り込む。テレビで「金を買いませんか」と宣伝している会社だ。
先物取引の会社はすぐつぶれる。何回か交渉してやっと示談が成立したかと思うと、その支払いをしないうちにつぶれた会社もある。だから私は会社に乗り込んでどの程度の会社なのかを調査する。
対応に出たのは管理部長である。
「すでに内容証明郵便で通知したように、手仕舞をして委託証拠金を返還してください」
「清算金ならすぐ返還します」
「そのお金は今すぐに受け取るが、証拠金全額を返してください。あなたの会社は高田さんが何歳かご存じですか」
「知りません」
「それじゃ高田さんは先物に500万円以上をつぎこんでいるが、どうしてそんな大金を持っていたか知っていますか」
「それも知りません」
「あなたの会社では取引を始めるにあたって委託者の年齢や職業、取引に使うお金をどうして持つようになったのか関心はないのですか」
「それはお客さんの内部事情ですから、あまり立ち入ったことは聞きにくいのですから」
「商品取引の受託業務に関する取引所指示事項は知っていますね」
「もちろん知っています」
「これによると、年金、退職金により主として生計を維持するものを先物取引に勧誘することは禁止されているでしょう」
「それは知っていましたが、当社は高田さんが年金生活者とは知りませんでした」
「冗談でしょう。あなたの会社は高田さんに何回も会ってお金を受け取っている。会えば高田さんが高齢者だということはすぐ分かるでしょう。しかも高田さんはこれは製鉄の退職金だといってあなたの会社の社員に渡している。あなたの会社は明らかに指示事項に違反して勧誘したのだから全額返してください」
「当社は正当な取引をしたのですからお返しできません」
「何が正当な取引か、詐欺やないか」
「詐欺とはなんですか」
「詐欺師に詐欺といって何が悪い」
「ずいぶんガラの悪い先生ですね。ほんとうに弁護士ですか」
「あのね、私は普通は紳士の対応をするんや。ヤクザにはヤクザの対応をする。あんたらのような詐欺師には、詐欺師の対応をするんや。ええか覚えとけよ。私は絶対にあんたらをやっつける。もう一回言うとく。私は絶対あんたらを許さん」