● 15年12月11日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №137 第二章 闘う弁護士 オリエント貿易(二)
オリエント貿易を相手として裁判を起こした。最初の証人は店長代理・有馬誠吾である。私は追求する。
「今回の取引を見てみると非常に頻繁に売り買いを繰り返していますね。その都度、一枚当たり7千円の手数料をあなたの会社は取っている。そしてその割には値動きが小さい。つまり、これだけの手数料に見合うだけの儲けを確保できる取引になっていない。だから確実に客の利益を上げるような売買の方法、できるだけ売買の回数を減らして、大きな流れの中で売買をやるべきではないか」
「もちろん それはそうですが、値段の動きがあれば、当然、頻繁といったらあれですけれども、商い、売り買いですね、をやるケースもあります」
「株式の場合でも一般素人が始めようとすれば非常に値動きの少ない、安定銘柄からスタートして、しかも安定して持っておいて、その中で株式の動きを勉強するというのが一般的なやりかたですね」
「はい」
「ところが、このゴムのように非常に値動きの激しいところでに素人が参入すれば、当然大きな損害が生ずる可能性が十分に有り得ることですからね。会社としてはそういう危険を最小限にくい止めるために、こういう売り買いは当面差し控える必要があるのではないか」
「株式には追証がありませんので長く持つことができますが、ゴムでは追証がありますので長く待てません」
「本件で追従が必要になった場合はどれか」
「具体的に追証が必要になった場合はありません」
「あなたは新規委託者保護管理規定というのがあるのを知っていますか」
「はい」
「これによると、新たに先物取引を始めた人は、三ヶ月の保護育成期間を設け、その間、建て玉枚数は20枚を超えてはならないことになっているが、本件では67枚も取引きしている。なぜか」
「上司の藤春の許可を得たからです」
「本件では10月9日から12月7日まで36回売買している。わずか二ヶ月間の手数料が312万円である。損はゴムの売買で生じたのではなく、あなたの会社の手数料に消えているではないか」
「…」
有馬証人は黙して語らず。次回上司の藤春を調べることになった。