● 16年01月11日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №140 第二章 闘う弁護士 暴力団 その1



img-112091814-0001暴力団組員に部屋の明け渡しを求める。暴力団は必ず最初は女性が借りに来る。言葉使いも丁寧で挨拶もきちんとするので、家主は喜んで貸すわけでさる。ところが何日かたって行ってみると、むくつけき男が住んでいて外車が違法駐車したりしている。戦闘服を着た男が出入りする。夜は騒ぐし近所から家主に苦情が出る。警察に相談しても、「直接被害が加えられたら来て下さい」と取り合ってくれない。そこで正義の弁護士の登場ということになる。

内容証明郵便で明け渡しを請求し、これに応じないと訴訟を起こす。暴力団組委員は敗訴しても立ち退かないので強制執行ということになる。

ヤクザの強制執行には警察署に立ち会いを要請し、制服が4人、私服刑事が4人やって来た。そのうちの係長らしき人が私に話しかける。

「先生は住田弁護士を知っていますか」

「もちろん知っているよ」

「あの先生は恰好いいですね」

「うん、背も高いし度胸もある」

「この組員は前、枝光に住んでいたんですが、その強制執行を住田先生がされましてね。アパートの二階でしたので住田先生が階段を昇って行くとその両脇に戦闘服の若いもんがズラーと並んでるんですね。その間を執行官と2人で通るんですよ。そして『強制執行に来た』と言って中に入ると1人で荷物を運び出すんですよ。アパートの部屋の中にも組員がいっぱいいて『やめんか』とか『後でひどい目にあわすぞ』とか言うのに、それを無視してどんどん運び出すんですよ。そのうち組員が怒って洗面器で水をまいたんです。すると住田弁護士は『このおまえ、器物破損ではないか。逮捕するぞ』と怒鳴りあげて、相手はビックリして『いや、タバコの火がいま焦げよって』なんて弁解しとりました。いや、ほんとにすごい先生ですね」

「うん、うん。ところでその時あなたは何をしていたんですか。住田君と違って僕はチビ、デブ、ハゲで恰好悪いし、何しろ勇気がない。すみませんが、その仕事はあなた達の仕事と思うので、今から執行官と行って明け渡してきてもらえないでしょうか」

さすがに刑事もムカッとしたようだが仕事と言われればやむを得ない。しぶしぶ立ち上がると明け渡しをすませた。

なお、住田弁護士には八幡警察署より、素晴らしい弁護士として事件の紹介がたくさんあっているそうだ。


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