● 12年02月21日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №03 弁護士会館の地代値上げ
裁判所の庶務課長が私を訪ねてきた。
「財務省が弁護士会に貸しております土地代の値上げをいってきましたので、よろしく」。
「この地価も下がってきている時代に値上げはないでしょう」。
「そんなことを言われても困ります。これまでも、弁護士会は快く値上げに応じていただきました」。
「これまでのことは、これまでです。私は値上げには応じられません」。
部会の役員会で裁判所から地代の値上げを言ってきた旨を報告し断固値上げには応じないという私の方針についての了解を得た。
部会長の経験者からは「値上げを阻止したら、弁護士会館に安部千春の銅像をつくってやる」との声が聞こえてきた。
裁判所の小倉支部長に呼び出された。
「例の地代値上げの件ですが、福岡本庁の所長に会ってもらえんでしょうか。所長は安部君が考えているような権力をカサにきるような人ではありません」。
福岡地裁所長に会った。「安部君、どうするつもりだ」。
「まず裁判所から地代値上げの書面が来たら直ちにマスコミを呼んで部会集会を開き反対決議を上げます。世論に訴えるしか方法はないからですね。私はこれでテレビに出れます。それでも裁判所が値上げを強行すれば裁判所を相手に訴訟をするという部会決議をマスコミを呼んでします。これで私はまたテレビに出れます。次に裁判所に訴状を提出するにあたってマスコミを裁判所に呼びます。これで私はまたテレビに出れます。裁判はどうせ負けでしょうがね」。
「安部君、君は間違っておる。私は今、所長として君に地代の値上げの要請をしている。しかし裁判官として判決をする時には私は私の良心に従って判決を書く。君が最初から負けというのは間違っている。裁判はやってみないと分からない。君に勝たせる裁判官もいるかもしれない」。
結局、財務省は値上げを諦めた。けれども私の銅像は今も立っていない。
小倉タイムス より転載