● 12年03月01日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №04 年金担保
北九州で九州弁護士連合会の大会を開くことになり、高齢者の問題を取り上げることになった。
NHKが北九州部会(旧小倉部会)の活動を取材してくれることになった。NHKのディレクターが言った。
「悪質金融業者が年金を担保にお金を貸しています。年金は生活をするために必要ですから、年金を担保にお金を貸すことは禁止されているはずなのに、野放し状態です。ズームアップ九州という番組で私はこの問題を取り上げようと思います。年金を担保にとっている業者の所に弁護士さんに行ってもらって年金証書を取り戻してきてもらって、それを放映したいと思っています。知り合いの弁護士さんにお願いをしたら、乗り込んでも業者が返してくれなかった時が困るといって引き受けてもらえないのです。今度、部会長である先生が悪質金融業者の所に行って年金証書を取り返して下さい」。
「テレビに出れるならやるけど」。
「先生、テレビカメラを連れて業者の所に乗り込むわけにはいきませんので、先生が隠しマイクを持って市役所の担当者と一緒に行って録音してきて下さい」。
市役所の担当者と業者のところに乗り込む。
「あら、安部先生どうしたのですか」(私は金融業者の間では名が知られている。ここは厳しく闘わないと絵にならない)
「年金担保は禁止されています。すでに年金の振り込み口座は新たに作って、そこに振り込むようにしました。あなたがもっている客の預金通帳、印鑑も年金証書も、あなたが持っていても、何の役にも立たないので、返して下さい」。
「安部先生、今日はどうしたのですか。えらい高圧的ですね」。
「いや、そんなことはない。預金通帳も印鑑も年金証書も客のものです。それを預かるのは違法ですから、直ちに返して下さい」。
「いいですよ。どうせ何の役にも立たないものですから」とあっさりと年金証書と預金通帳と印鑑を返してくれた。
小倉タイムス より転載