● 16年02月01日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №142 第二章 闘う弁護士 サラ金



img-130132837-0001サラ金で困った人が相談にくる。しかし、借りた金を返さないで済むなどという旨い話があるわけはない。弁護士が解決できるのは、依頼者が利息をたくさん払っていた場合である。

「利息制限法」という法律があり、元本が10万円未満の場合は年二割、元本が10万円以上100万円未満の場合一割八分、元本が100万円以上の場合には年一割五分しか利息を取ってはならないことになっており、この制限以上に利息を取ればその分は元本を返したことになる。

そこで、30万円を借りて月八分の利息を2年間ちゃんと払えば、もう元本を返す必要はないし、払いすぎた分の返還請求も出来るようになっている。この法律を武器に弁護士はサラ金と闘うわけである。

ヤクザがサラ金を経営している場合があり、その取り立ては厳しい。そこで債務者は弁護士に解決を依頼する。

私が文書で依頼を受けた旨をサラ金に連絡するとすぐにサラ金から電話が入る。

「あんたが払うてくれるとな」

「利息制限法に従って計算すると残りは3万円になりますので、3万円ならお支払いいたします」

「どうして3万円になるとな。俺は30万円貸して利息だけしかもろうとらん」

「利息制限法によって計算すると3万円になります」

「俺は本人と月六分でちゃんと約束しとる。それをどうして一方的に計算するとな」

「だからそれは利息制限法という法律があって、当事者同士で約束していても、その約束は法的に無効となり、年一割り八分で計算していいことになっています」

「そんなことは納得できん。俺は本人のところへ取りに行く」

「それは困ります。私が依頼を受けた以上、私と交渉して下さい。本人のところへ取りに行くのはやめてください」

「何でお前の言うことを聞かにゃならんか。俺は俺のやり方で行く」

「本人はあなたと会いたくないと言っている。私がちゃんと伝えているのですから、これ以上取り立てをすれば法的手続きを取ります」

「法律、法律と、あんたは偉いのかも知れんが俺は本人に月六分で貸しとる。それをもろうて何が悪いか。今から本人のところへ取りに行くわ」

と、電話がガチャンと切れた。


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