● 16年02月11日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №143 第二章 闘う弁護士 サラ金(二)



img-212094108-0001直ちにタクシーを飛ばして、依頼者の自宅に行く・

「先生、突然どうしたのですか」

「今、サラ金から電話があった。今からサラ金があなたのところに取り立てに来ると言っていた。あなたでは無理でしょうから、私が撃退してあげます」

10分ほど待っていると、本当にサラ金が押しかけてきた。

「こら、おるか、金を払え」

と、玄関の戸を開き中に入ろうとするので

「こら待て、誰の許可を得て他人の家に入りおるか。それ以上入ったら住居侵入で告訴するぞ」と私は威した。

びっくりしたのはサラ金である。まさか私が依頼者の自宅に来て待っていようとは思わなかったからだ。

私が威嚇するとさっきの威勢の良さはすっかり消えて、玄関先でオロオロしている。

「先生、入ってもよろしいでしょうか」

「まぁ、ここに来いや」

とサラ金を中にいれる。

「まぁ、あんたも運が悪いと諦めてくれ。私も銭、金は欲しいが、銭、金だけで弁護士はしとらん。世の中の不正義を見ると銭、金抜きで働く。私に当たったのが運が悪いと諦めてくれ。
私はこの依頼者を守るのが仕事だ。仕事だと思うから、あんたからあんな電話があれば、すぐに動く。あんたが仕事なら私も仕事だ。しかし私がついた以上、この金は絶対に取れない。私は借りたものを、返さんと言いよるんじゃない。これまであんたに高利を払ったから、もう残りは3万円しかないと言いよるんや。あんたもこれまで、利子をたくさん貰っているから、3万円でも損することはなかろうが。大儲けができんやっただけや。これから金を貸すときには、私のところに駆け込まんような人に貸しなさい。」

「先生はいつでもこんな風に僅かな金の取り立ての事件でもパッと動くのですか」

「全ての事件で動きよったら身がもたん。しかし私はカーチャンに鍛えられたから、ケンカは早いし、強い。売り言葉に買い言葉でケンカが始まれば勝つまでする。しつこい。負けたことはない。勝つまでするからあんたも諦めるしかない」

この事件は、その場で3万円を払い解決した。

 


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