● 12年03月20日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №6 県庁に乗り込む
貸金業の規制等に関する法律の通達では貸金業者が大声を上げたり、乱暴な言葉を使ったり、暴力的な態度をとることは禁止されている。又、午後九時から午前八時までは電話したり、訪問したりすることは禁止されている。しかし、サラ金業者はこれを守らない。サラ金業者を監督するのは福岡県商工部金融課金融係である。そこで私は金融係にアート信販というサラ金が年金担保でお金を貸し、悪質な取り立てをしているので取り締まるように何度も電話をしたが、「わかりました。指導します」というだけで、動こうとしない。
小倉部会役員会で私は言った。
「先日福岡県商工部金融課金融係に一人で行ってきました。担当者は二人しかいません。福岡県の金融業者は何百社もあります。二人で取り締まることはできません。担当者の熱意にも問題があるのでしょうが、もっと熱意のある職員を増す必要があります。そこで小倉部会として福岡県に要請に行こうと思います」
私はテレビカメラを引き連れて県庁に乗り込んだ。対応した課長と論争になった。
「北九州市の職員は私と一緒に金融業者の所に行って年金証書と預金通帳を取り戻してくれました。ところが、県の担当者は全く動こうとしません。どうしてですか」
「確かに国民年金法と厚生年金法では年金を取ることは禁止されています。しかし、金融業者が年金を担保にとっても、それを規制する法律がありません」
「具体的な法律がなくとも、金融業者を指導監督するのが福岡県の仕事ではないですか。年金を担保に取ることが法で禁止されている以上、法違反をしないように指導監督するのが県の仕事です」
当然、テレビで放映された。ズームアップ九州やクローズアップ現代などでテレビが年金担保問題を取り上げ、マスコミや行政、弁護士が問題点を明らかにし、その後、法改正により金融業者が預金通帳を預かる行為は懲役一年以下の刑罰が科されるようになった。
小倉タイムス より転載