● 12年04月01日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №7 北九州矯正センター構想
平成七年二月、法務省福岡矯正管区は小倉拘置所、城野医療刑務所、小倉少年鑑別所を小倉南区の小倉刑務所敷地内に新設する「北九州矯正センター」に統合、併設する構想を突如発表した。
拘置所はまだ裁判中や裁判前の人を一時的に収容する施設で、服役した人を収容する刑務所とは全く違う施設である。今でも拘置所について誤解があるのに併設すれば、益々誤解される。少年鑑別所は少年の保護処分を決定するために少年の様々な資質を調査するための施設であり、これまた刑務所とは全く違う施設である。
四月二十七日、小倉部会は反対の決議をした。しかしこの問題は小倉部会だけで闘って勝てる問題ではない。福岡県弁護士会、日本弁護士連合会に問題提起し、マスコミにもこの問題の重要性を訴えた。問題を大きくして世論に訴えるしか勝てる展望はない。
国会では当時民主党の代議士だった北橋健治氏に質問してもらった。又、日弁連に対策委員会を設置してもらい、現地調査をしてもらい、これをテレビなどで報道してもらった。
日弁連は東京の日弁連会館に法務省の担当審議官にきてもらい、説明をうけた。審議官は模型と設計図を持参し、どのような施設をつくるのかを得意げに説明した。
私がこの構想は拘置所や少年鑑別所の理念や制度目的からみて間違っていることを主張しても聞く耳をもたなかった。すでに決まったことを今更反対しても無駄なのになんで反対するのか不思議でたまらないという顔をしていた。審議官は小倉拘置所、小倉鑑別所、城野医療刑務所が老朽化し、国にお金がないので、これらの敷地を売却して、そのお金で北九州矯正センターをつくるしかないとこれまでと同じ説明を繰り返した。
しかし、結局、国にお金がないために予算がつかず、この施設は作られなかった。国にお金ないために始まったこの構想は国にお金がないために潰れた。正しいと思ったら、闘い続ける事が大事だ。世の中何が起こるかわからない。
小倉タイムス より転載