● 12年04月10日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №8 フランスの核実験反
一九九六年、フランスが核実験をすると発表した。ニュースステーションを見ていると一般市民がフランス大使館の周りで抗議して座り込んでいた。マイクを向けると「私たちにできることはこのくらいのことですから、できることをしています」と答えていた。
それなら私も出来ることをしよう。弁護士会小倉部会で反対決議をしようと思いたった。私はマスコミを呼んで部会集会を開いた。
「皆さんもいかなる国の核実験も反対でしょうから小倉部会で反対決議をあげましょう」
私は皆が賛成してくれるものと思っていたところ、反対者がいた。
「弁護士会は強制加入団体である。様々な考えの人がいる。核実験反対などという政治問題で反対決議などするべきではない」
私は直ちに「申し訳ありませんが、反対者がいるようなので、内部で調整をしますので、マスコミ関係者はちょっと退出してください」とマスコミを追い出した。
これまでの部会長経験者達は「核実験反対の決議は日弁連で何回も決議している。政治的というなら日弁連が決議するものは法案の反対など皆、政治的なものだ。政治的ということで決議ができないのなら、日弁連は何の発言もできないことになる。大方の賛成が得られることについては決議できる」と応援してくれた。
けれども私は「申し訳ありませんが、私は反対者がいるとは思わないので決議しようと言い出しましたが、反対者がいるのなら強行するのはいやなので決議案は撤回します」と言った
すると「ばかをいうな。部会長が一旦提案したことを反対者がいることぐらいで撤回するな。採決をすればよいのだ」と皆がいいだし、採決をした。
採決は賛成五十二票、反対ゼロ票、保留二票だった。マスコミを入場させ、私が採択された決議文を読み上げた。
この日の弁護士会の様子はテレビで放映された。小さな声も集まれば大きな世論になる。世界中で反対運動が巻き起こり、日本でも反対運動が盛り上がり、フランスは、今後核実験はしないと発表した。
小倉タイムス より転載