● 12年05月01日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №10 日栄との闘い①



田中氏から依頼を受け、日栄に田中氏がいつ、いくら借りて、いつ、いくら返済したのか明細を明らかにしてくださいという内容証明郵便を出した。早速、日栄から電話がかかる。
「先生、お金を返してください」
「日栄は高利を取っている。いつ、いくら借りて、いつ、いくら利息を支払ったのかを明らかにしてもらえば、利息制限法に基づいて計算をして残っていれば返します」
「先生、貸金業の規制等に関する法律ができたのを知っているでしょう。我が社はこの法律に基づいて貸しています。利息制限法の適用はないのです。弁護士なら法律を守ってください。今時、利息制限法を主張する弁護士はいませんよ」
「私は利息制限法に従って計算をして残っていれば返します」。
「いいですか。日栄が勝った判決を送ります。先生のように支払を拒否すれば金利がどんどんついて、客のためになりませんよ」
日栄からは、日栄が取った金利は合法だとした判決が送ってくる。そうすると私がおかしいのではないかと思ってしまう。弁護士が孤立していたのでは日栄に勝てない。全国には私のように日栄と闘う弁護士がいた。
私たちは日栄・商工ファンド弁護団を結成し、どう闘うかを全国から自腹を切って集まって研究した。
日栄は300万円を貸すと金利を差し引いて280万円を依頼人の口座に振り込み、3か月後が支払日の約束手形を振出させる。3か月後には又300万円の約束手形を振り出させ、280万円を依頼人の口座に振り込んで、前の約束手形を落とさせるという取引をしていた。
新法43条は借りた人が任意に利息を支払った時に高利をとることができると記載されていた。私たちは利息の天引きは日栄が強制的にやっているので任意性がないと主張した。
そして私たちは日栄が天引きをしている場合には新法の適用はないという判決を勝ち取った。弁護士が集団で闘うと強い。素晴らしい弁護団だった。

小倉タイムス より転載


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