● 12年05月30日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №12 サラ金と闘う



弁護士が受任通知を出すと、サラ金は本人に直接請求することは禁止されている。しかしアート信販という業者はこれを無視して請求を続ける。
私は依頼人に言った。
「テープレコーダーを買ってサラ金が取り立てに来たら録音してください。あわてて録音に失敗しないように練習をして落ち着いて対応できるようにしてください」
依頼人がアート信販との会話を録音した。
「安部千春がなんだ。俺たちはそこらの金融業者とは違う。借りたものは必ず返してもらう」と怒鳴っていた。テープの中では困った依頼人が警察を呼んでいた。アート信販が「借りたお金をかえし下さいと言っているだけです」と警察官に言うと「あまりもめないようにしてください」と言って警察官は帰ってしまった。アート信販は「なんで警察をよんだのか。警察なんか何の役にもたたん。早う金を返さんか」と怒鳴り続けた。
私はこのテープを証拠に慰謝料300万円弁護料30万円を支払えという裁判を起こした。判決は33万円を支払えというものだった。アート信販はこの判決に不服で控訴した。
控訴審の裁判長が言った。「安部先生、先生の正義は巨悪をやっつけるために使うべきで、こんな金融業者をやっつけてもしょうがないでしょう。金額を負けてください。和解にしましょう」
私はこのような見え透いたヨイショでも弱い。しかし私はしぶといし、あまり譲歩はしない。「いいでしょう。30万円にします」。和解が成立し、アート信販は私に30万円を支払った。
それでもアート信販は他の人に対する悪質な取り立てをやめなかった。そこで従業員に私がやめろというと「社長の携帯電話を教えますのでそっちに言ってください」と逃げた。社長にやめろと電話すると取り立ては直ちに止まった。

小倉タイムス より転載


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