● 12年06月10日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №13 サラ金と闘う②
平成18年1月13日最高裁は、商工ローンのシティズの貸金業の規制等に関する法律43条1項の主張に対して任意性がないので、利息制限法の適用を認める判決を下した。
サラ金も商工ローンも2回以上利息の支払いを怠った時には残金を一括して支払わなければならないというペナルティをつけている。ペナルティをつけないと借りた人が利息を支払わないからである。最高裁はこのペナルティは事実上の強制であり、自由な意思によって高利を支払ったものということはできないと判決した。すべてのサラ金も商工ローンは契約書にこのようなペナルティをつけているから、この判決はすべてのサラ金と商工ローンについて利息制限法の適用を認めるものだった。
貸金業の規制等に関する法律が制定されたのは昭和58年である。最高裁の判決が出たのは平成18年、勝利するのに23年かかった。
日栄・商工ローン弁護団は全国各地から自腹を切って集まり、貸金業の規制等に関する43条1項の任意性の解釈を、集団の叡智で討議し、負けても負けても闘って、ついに勝ち取った判決である。弁護士には素晴らしい人がいる。ほとんど採算のとれない事件を依頼人のために負けても負けても勝つまで闘う。弁護士の使命は社会正義の実現と人権擁護であるが、それを最後まで追及する人達がいる。
この判決が出た後、貸金業の規制等に関する法律は意味がなくなり、廃止された。日栄も商工ファンドも倒産し、武富士まで倒産し、弁護団はその役割を終え、解散した。
この判決以後は信販会社もサラ金も利息制限法の適用を認め、過払い金の返還に応じるようになった。そうするとこれまでサラ金と全く闘ったことのない弁護士や司法書士がテレビや新聞で広告をして過払い金で金儲けをするようになった。まだ借金が残っている人はその支払いをどうするのかサラ金と交渉しなければならないので弁護士会に回す。やむなく日弁連は債務整理についての規律を定め、依頼人と直接会って依頼を受け、報酬について制限を設けた。
小倉タイムス より転載