● 16年10月01日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №165 第三章 ひょうきん弁護士 異議あり!



img-930170409-0001自らが証人申請をした証人に対する尋問を主尋問といい、誘導尋問をすることは禁止されている。

私の弁護士1年目の刑事訴訟法に従った異議。

(検察官の目撃証人に対する主尋問)

検察官「谷市長が、労組員から洗濯デモをされたとき、外周にいる人はどんな行動をしていましたか」

証人「市長のほうに背を向けてスクラムを組んでいました」

検察官「スクラムを組んで、背中や尻の中のほうを押していたのではありませんか」

安部弁護士「異議あり、誘導です」

裁判長「異議をみとめます。検察官は質問を変えて下さい」

私の弁護士10年目の刑事訴訟法にはない異議。

検察官「あなたはそのとき現場にいましたか」

証人「はい」

検察官「そのときの状況を話して下さい」

証人「上村課長を労組員が取り囲んで口々に『賃金カットの理由を言え』と言っていました」

検察官「それに対して上村課長は何と言っていましたか」

証人「理由は職場離脱だと言っていました」

検察官「被告人はどんな行動を取っていましたか」

証人「皆と同じように、『賃金カットの理由を言え』と言っていました」

検察官「被告人は言うだけでなく、別の行動をしませんでしたか」

証人「別の行動と言いますと……」

検察官「被告人は課長の後ろから……」

部弁護士「(検察官の尋問を遮り)異議あり」

検察官「(顔面真っ赤になって怒り)まだ私の質問中ではないか。どこが異議なのか」
安部弁護士「あなたのこれからしようとしている質問が誘導尋問です。裁判官も注意して聞いて下さい。検察官、どうぞ質問を続けてみて下さい」

こう言われると、もはや検察官は誘導尋問ができない。このとき検察官がしようとした質問は、(被告人は課長の後ろから課長の頭を殴ったのではないか)という質問だった。
誘導尋問は、されてしまってから異議を言っても、証人には尋問者が何を期待しているのか分かってしまい、効果がない場合が多い。誘導尋問はされる前にその質問を封じてしまうのだ。


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