● 16年10月11日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №166 第三章 ひょうきん弁護士 告訴さる
小倉南区の同和保育所で保母さんが労働組合をつくって組合活動をしたために整理解雇された。園児の定数が減ったので保母が余るというのが園側の理由であった。地位保全の仮処分の申請をし、解雇をする前に希望退職を募ったり、労働組合と協議すべきであると主張し、私達は勝訴した。
ところがこの保育所は裁判所の決定を認めず、保母さんを保育所に戻そうとしないばかりか、給与も支払わない。やむなく強制執行をすることになり、執行官を連れて保育所に乗り込んだ。
保育所では園長の息子という身長が1メートル75センチぐらいの若い強そうな副園長が応対した。
「裁判に負けたのだからせめて給与は払って下さい。払わなければ差し押さえをします。しかし、園児の机や椅子を差し押さえても仕方がないから払って頂けませんか」
「裁判がなんだ。押さえるなら押さえてみい。この「ハゲ、このチビ」
と副園長が私を見下ろして言う。
「払ってくれなければ差し押さえますが、本当にいいんですか」
「おう。差し押さえてみい。ただじゃおかんからな」
「私を脅かしても何もなりませんよ。仕事なんですから。どうしても払わないんなら、やむを得ませんので差し押さえますよ」
埒があかないので執行官に
「払わないようですので差し押さえて下さい」
と頼む。すると副園長は「待ってくれ。園長を呼ぶから」「園長を呼ぶので、ちょっと待ってくれ。差し押さえるのにこんなに大勢で来られても困るので、一応園外に出てくれ」と言い出した。
この日、私達は執行官のほかに、幼稚園や保育所の保母さんで組織している「幼労組」という労働組合の組合員を20名程動員していた。
「園長を呼ぶということなので、すみませんが一旦園外に出て待ちましょう」と一応皆を指揮して外に出た。
30分待っても園長は来ない。副園長に私か声をかける。
「30分たったけど、どうなっているの」
「このバカ、園長が来るか。呼んどらせんわ。おまえ達を追い出しただけよ」
私か再び門の中に入ろうとして、門の留金に手をかけようとすると副園長が妨害し、私の手がちょっと副園長の腕に当たった。
執行官が「園長もおらんようですから、トラブルを避けるために日を変えましょう」というので引き上げた。