● 13年02月10日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №37 九州女子大学前学長の解雇事件2



人事関係の審理

福原学園ではこれまで教授会で人事関係を審議しておらず、人事に関する資料は教授会でも公開されていなかった。それを藤川氏が公開したので、混乱したと解雇理由に挙げている。

藤川氏は普通の大学のように教授会で人事をも審議しようとしただけである。こんなことが解雇の理由になるわけがない。

仮処分の決定は以下のとおり判示している。

「債権者が、学長の権限と責任において教授会で人事に関して審議しようとしたことは、大学の自治の観点から見て相応の合理性がある上(他の私立大学では、講師等の任免につき教授会の議決を経ることを要すると規定されている例がある)右資料の提出を指示したことは、前記教授会の議論の経緯からして議長(学長)としての裁量の範囲内と見ることができるから、『正当な理由』があったと解される」

業務命令違反

また藤川氏が業務命令に従わずに文部省へ状況説明に赴いたことも解雇の理由にあげている。しかしこんな業務命令を出すこと自体が問題である。

福原学園は文部省から指導を受けていたのだから、正しい状況説明をする必要がある。これに付いては以下のとおり仮処分決定では判示している。

「各大学の教授会が理事会退陣要求を決議して、理事会と教授会が鋭く対立して学園が混乱している状況下において、臨時定員の恒常定員化の可能性の観点から、債務者が監督官庁たる文部省に対しこの状況を報告し、その打開策について協議するのが妥当と判断したことは、教学の責任者たる学長の判断として相当ということができ、債権者が右業務命令に従わなかったことにつき『正当な理由』があったと見られる」

このように福原学園の解雇理由は、とうてい解雇の理由とはならないものばかりであった。

平成10年4月16日、藤川氏の地位保全の仮処分決定が出され、私達は勝利した。

理事総退陣

九州女子大学前学長藤川氏の解雇は教授達の反乱に対する福原学園のおどしであった。藤川氏の解雇が無効であるとする仮処分決定が出て、教授達は新たに福原学園再建全学教職員の会を結成し、ストライキを含む強い抗議行動を行った。

このように学園内部からの正常化の動きと文部省からの強い指導により理事が全員やめ、新しい理事が選任され福原学園は正常化された。


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