● 13年03月01日 ひょうきん弁護士
ひょうきん弁護士2 №39 判決の日 2
永万寺裁判
主文は「原告の請求を棄却する」か「原告らと被告との間において、原告らは小寺契約とも称すべき無名契約(被告の僧侶として葬儀等の法務活動を行い、門徒からお布施を受け取ることができる契約) 上の地位を有することを確認する」かである。2分で終わる。
午後1時15分、私は弁護士会館の2階から裁判所を見ていた。原告らが飛び出してきた。私は勝ったと思った。負けたのなら原告はガッカリしているから支援者と一緒に出てくるはずだからである。だが、原告らに笑顔がない。不安が私を襲う。
弁護士会館にきた原告らに私はおそるおそる尋ねた。
「どうなった」
「勝ちました。先生ありがとうございました」
次々に原告らと支援者と握手をした。弁護士が一番うれしい時である。
筑豊じん肺訴訟
一審判決の日、私が出廷しないと言い出すと弁護士達が怒った。
「ウソでしょう」
「安部先生、何を言っているんですか」
「そんな非科学的なことを安部千春が言うとは信じられない」
「今まで一緒に闘ってきて、ここで判決言い渡しに立ち会わないなんて敵前逃亡です」
「安部先生がこんな卑怯な人間とは知らなかった」
「そんなわがままは許されません」
弁護士達が言うのが正しいので、出廷した。判決では企業には勝ったが、国に負けた。
控訴審の判決の言い渡しの時、私は言った。
「一審判決の時、私が縁起をかついで出ないというのにそんなわがまま許されませんと皆がいうので出たら負けた。今度は私のわがままをきいて下さい。私は裁判には立ち会いません」
今度は誰も文句を言わなかった。
「国に勝訴」などの完全勝訴を示す旗出しを、法廷の外で私は一般の支援者と共に拍手で迎えた。この私の姿がテレビで放映された。単なる縁起担ぎとわかっているけどやめられない。