● 13年03月21日 ひょうきん弁護士

ひょうきん弁護士2 №41 永万寺 裁判2



本件の争点

私達は法中の皆さんに永万寺を追い出されたことで、これまでの生活がどう変わったのか、門徒の数は何人減少したのか、これまでいくらの収入があり、今はいくらに減ったのか、そしてその収入不足をどう補っているのか、全員に陳述書を書いてもらった。

本件紛争の結果、永万寺の門徒が、永万寺の住職につくのか法中につくのかの踏み絵を踏まされていた。法中の一人は全部の門徒を、多くの法中が半分以上の門徒を失い、法中達は極めて困難な生活を送っていることを証明した。

正義を実現すべき裁判所は何の罪もない法中達を救済すべきであると私達は訴えた。しかしこれは裁判であるから、私達は弁護士として法中を勝たせるための法的根拠を主張しなければならない。

時効の主張

法的に保護に値する権利は10年でその権利を取得する(民法163条)。
永万寺が仮に燃えてなかったとしても、永万寺の法中は明治の初期から永万寺の僧侶として今町等それぞれの担当地域を持ち、その担当地域で葬式があれば、その担当地域の法中と住職、当番法中(十6名の法中がそれぞれ月ごとに輸番で当たる)の3名で行い、3名がそれぞれ御布施をもらっていた。
永万寺の法中はこれら担当地域からの御布施等の収入だけで生活してきた。永万寺と法中とのこれらの関係は法中の生活の基礎であるから、法的に保護に値する権利であり、十年で時効取得したと主張した。

訴えの利益

一審判決は最高裁判所の種徳寺判決を引用し、法中という宗教上の地位の確認は、宗教の自由であるから裁判の対象とならないとも判断していた。

しかし一審判決はこの最高裁判所の、種徳寺判決の理解の仕方が間違っていた。法中の地位の確認が裁判になったのは本件が初めてであるが、寺と住職、僧侶、門徒がその地位の確認を求めた裁判はたくさんある。

一番有名なのが銀閣寺事件の昭和44年7月20日の判決である。この判決では住職の地位確認は訴えの利益がないと却下されていた。しかしこの判決では報酬請求権などの権利の確認は別であると書かれていた。

そして前記、種徳寺事件でも住職の地位が他の権利を請求する前提になっている場合には裁判できると書かれていた。私達は、本件はお布施をもらう権利の確認であり、経済的な権利であると主張した。


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