パワーハラスメントについて

弁護士 田邊 匡彦
2025年1月執筆

  1. パワハラの定義は「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されること」(労働施策総合推進法)とされ、パワハラ指針では6つの類型を上げています。
  2. 個別類型について
    以下の各事例では、パワハラ認定されています。

    ⑴ 身体的な攻撃(暴行・傷害)
    喫煙者である労働者に対し、上司が6ヶ月間にわたり、扇風機の風を当て続けるなどした事例

    ⑵ 精神的な攻撃(強迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)
    上司が同僚を誹謗した部下を指導中、「でるとこにでようか」「貴女がやっていることは犯罪」「何が裁判所だ。とぼけんなよ。」等と不相当な表現を用いて叱責した事例

    ⑶ 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
    労働者を常時監視の状態に置き、他の労働者を近づけないようにしたり、挨拶を無視したりした事例

    ⑷ 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
    能力を質量ともに超える業務に従事するよう指示しながら、適切な指導・援助を行わなかった事例

    ⑸ 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じること・仕事を与えないこと)
    接触事故を起こしたバス運転手に除草作業を行わせた事例

    ⑹ 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
    職員同士の交際について、上司が「若い子を捕まえて、騙して」と発言したり、「あいつは危険人物だぞ」と発言したりした事例
  3. 違法性の判断基準
    上記1の定義に当て嵌まり、違法性があると判断するためには、行為者の地位・権限、行為態様・程度、行為者と労働者の関係性、業務との関連性、被った被害の内容・程度等の諸般の事情を踏まえて、社会通念に照らして判断することになります。したがって、まずは、具体的な事実を詳しく聞く必要があります。

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